外側から見つめて自分の本質を開放する
自分の内面を覗くジョハリの窓
周囲の人たちとよりよい人間関係を築きたい。ストレスを感じずに毎日を楽しく過ごしたい。心理学的テクニックは、ヒトとして当然のそんな願いを叶えるサポートをするものです。
例えば人間関係をこじらせることのひとつに、自己評価と他者評価の違いがあります。「私はこういう人間です」。それが正しい主張だとしても、誰からもそう見られなければ辛いだけですし、他人から見れば、思い違いや思い込みの激しい人ということにもなりかねません。
前項の自分を知るテストでは自分自身について掘り下げられますが、さらに他人から見られる自分と、自分が思う自分の姿を見比べる手法を紹介します。
アメリカの心理学者、ジョセフとハリーが開発した「ジョハリの窓」です。対人関係における気付きのグラフモデルであり、自分が思う自分と他人の認識のズレを客観視するための自己分析ツールです。
20答法と違うのは、周囲の人々の協力が必要なことです。自分を知る人を数人集め、自分がどんな人間だと思うかを自由に書いてもらいます。当然ながら、自分に遠慮をする人ばかり集めては正直な回答が得づらくなります。互いに何でも言い合える友人や、誠意のある正直な知人に協力をお願いしましょう。長い付き合いの人と短い付き合いの人、仕事関係とプライベートなど、条件が混ざるとより興味深く有益でしょう。
他人との認識のズレに気付く
同時に自分でも、自分がどういう人間かを書き出します。前項の20の答えから使えるものもあるでしょう。そして、協力者が書いてくれた内容と、自分が書いた内容を合わせ分類します。
自分と協力者の意見が合致した内容が「開放の窓」。自分だけが書いたものが「秘密の窓」。協力者だけが書いたものが「盲点の窓」です。どこに何が入るかだけでなく、どの窓に対する意見が多いのかも参考になります。
「秘密の窓」が多ければミステリアスな人、よくわからない人と見られているかもしれません。「盲点の窓」が多ければ、自分のことを勘違いしている可能性もあります。「開放の窓」に入る項目が増えることで、誠意のある人、正直な人、おおらかな人、信頼できる人といった評価につながります。それは他者に対して自己開示ができているということであり、ヒトは自己開示されることで「自分に対して心を開いている」と感じるからです。
自分を知り自己を開示するとメリット大
4つの自分の姿を知り自己開示する
開放
ここが大きいほど、ありのままの自分を他人に開示でき、スムーズにコミュニケーションできているということ。
盲点
他人にどう見えているがわかり、自分の長短所を新たに発見し、見つめ直すことができる。
秘密
周囲から誤解されていることを示す。ここのギャップが大きいほど、自己開示は不十分ということ。
未知
自分の隠れた能力を発見でき、成長の余地がある部分なので、チャレンジをして切り開きたいところ。
【出典】『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』著:渋谷昌三
【書誌情報】
『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』
著:渋谷昌三
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公開日:2024.12.05