積乱雲の上に“跳ねる雲”? 謎多き「ジャンピングシーラス」とは【最新の国際基準で見わける 雲の図鑑】


巻雲がぴょんと跳ね上がる ジャンピングシーラス

積乱雲の上部にできる謎多き巻雲
対流圏と成層圏の境界には、対流圏界面と呼ばれる壁のようなものが存在します。もくもくと勢いよく盛り上がってきた積乱雲も、これを突破することはできません。 雲頂が圏界面に到達すると、そこで頭打ちとなり、てっぺんは圏界面に沿うように平らになります。
この平らになった積乱雲のてっぺんから、雲がぴょんと跳ね上がる現象が知られています。これがジャンピングシーラス(jumping cirrus)です。
ジャンピングシーラスは氷の結晶からなり、オーバーシュートの近くで、約1~2kmほど跳ね上がります。雲は成層圏内に突入しており、対流圏から成層圏へと、水蒸気を運んでいるかもしれないと推測されています。
しかし、ジャンピングシーラスの観測は難しく、メカニズムなど未解明な部分も多い謎多き存在です。 今後の研究が待たれます。
【出典】『最新の国際基準で見わける 雲の図鑑』著:岩槻秀明
【書誌情報】
『最新の国際基準で見わける 雲の図鑑』
著:岩槻秀明
季節ごとに見られる雲やレアな雲、気象予報の役に立つ雲など、科学的な観点から見る雲に加え、雲海や霧など景色として楽しめる雲まで解説する雲図鑑です。
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