【体幹のスペース作り】廣戸聡一による動作レクチャー解説
腕や身体を動かすための基本動作。空間だけでなく時間もコントロールする。
たとえばドッヂボールの場合、身体の正面でボールをキャッチするとき、手の動きだけではボールを受け止め切れないため、体幹部に自分の手が入るだけのスペースを作る必要があります。体幹部に手があれば、しっかりとボールを受け止め、さらにボールを返すときに必要な強いインパクトを得ることができます。同様に、走るときには腕を振るスペースが、テニスではラケットを振るスペースが必要になります。
このように、身体や腕が動き出す前に、それらを動かすためのスペースを体幹で作ることを「体幹のスペース作り」と言います。走る動きで言えば、腕が動く前の「体幹の動き」=「スペース作りの動き」となります。体幹の入れ替えによってスペースを作ることが、腕を振り上げるポイントになっているため、たとえば胸が開いて体幹が固まると、腕を振ることができなくなってしまいます。この状況が「あごが上がった」「身体が伸びた」状態で、こうなるとスピードを上げて走ることはできません。
●さまざまな「体幹のスペース作り」
①自分の身体を入れるスペース作り
走るときに腕を振るためのスペースや、鉄棒の逆上がりで足を上げるためのスペースなど、身体を動かすためのスペース作りです。
②道具を入れるスペース作り
ラケットやスティックなど、道具を動かすためにもスペース作りが必要です。また、バレーボールやバスケットボールなどのボールを使う競技では、ボールを通すためのスペース作りが必要になります。
③敵を入れるスペース作り
格闘技の組手などでは、自分に有利な体勢に持ち込むために、相手を入れるスペース作りが必要です。
④時間を生み出すスペース作り
スペースを作ることによって技を仕掛けるタイミングができるなど、時間を生み出すこともできます。たとえばジャンピングスローでは、跳ぶことでスペースを作り、さらに「投げるスペース」を作ることができます。
「体幹のスペース作り」の動きのポイント
胸全体が動いていないことを前提に、腕が動く前の体幹の動きが「スペース作り」です。このとき、タイプによって、動かしているように見えるポイントが違います。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!
公開日:2021.06.03