スキージャンプ台を駆け上がる 世界一過酷な400m走「Red Bull 400」、史上最大規模となる1,763名が参加


【レースの様子|男子シングル】
昨年に続き注目を集めた田中聖土さんは、予選を2位で通過。予選1位通過は、今大会最年少(16歳)で初出場の鈴木嵩一郎(すずき こういちろう)さん。決勝のスタート合図とともに、30名の選手たちが一斉に飛び出すと、序盤は団子状態で大きな差はなく、互いに様子を伺いながらの展開に。コース中盤を過ぎたあたりから、田中さんが徐々にペースをあげ、頭一つリード。そこからは田中さんが独走し、後続を一気に引き離していきました。そして迎えたラスト100メートル。田中さんの力強い走りは衰えるどころか加速を増し、残り10メートルでは2位以下を大きく突き放す圧巻のリードで、そのまま堂々のフィニッシュ。ゴールタイムは3分36秒。前人未到の5連覇を達成しました。2位は予選1位通過の鈴木さん。初出場・最年少でありながらも、田中さんに迫る軽快な走りを見せ、観客を沸かせました。 田中聖土さんコメント これ以上ない達成感で終わることができ、本当に嬉しいです。これまでの優勝と違って、特に今回は、「決勝のレースで手を使わないで走りきる」と自分に課した目標があって、それを達成しての優勝だったので、充実感は一味違いますね。実は、去年4連覇を達成した時点で出場はもういいかなと思いましたが、やはり「Red Bull 400」のエントリー開始時に自分の意に反してエントリーボタンを押してしまった経緯もあり。エントリー後に、「4連覇」より「5連覇」のほうが数字のキリがいいなとも思って、結構僕自身としては覚悟を持ってこのレースに出場したので、今のところ6連覇は本当に考えていないです。「ジャンプ台を逆走して走る」のは、このRed Bull 400じゃないとできない体験なので、特別な体験に少しでも興味があれば、迷わずエントリーしてほしいと思います。



【レースの様子|女子シングル】
予選を1位通過したのは、2019年韓国で開催された Red Bull 400での優勝経験を持つ実力者で韓国出身のHyunji KANGさん。決勝では、序盤から首位をキープし、予選の疲労を感じさせない驚異的なスピードで、他の追随を許さない走りを展開しました。しかし、ラスト100mで昨年の覇者、布施愛里さんが怒涛の追い上げを開始。中盤までKANGさんとの差を許していたものの、ゴール直前の急斜面で一気に加速して首位を交代。そのままの勢いでフィニッシュラインを駆け抜け、大会2連覇を達成しました。布施さんの勝利タイムは、昨年を上回る5分11秒。女王の座を守り抜いた劇的な勝利となりました。 布施愛里さんコメント 今日は予選のタイムが思ったよりも良くなかったので、自分の体調と照らし合わせかなり不安な気持ちになっていたので、その中で勝てたことはすごく嬉しいです。予選の後に、少しでも身体を動かし続けて、不安な気持ちを切り替えました。前回優勝した時も、後半に成績を伸ばして勝てたので、そのイメージだけを持って最後まで諦めないように頑張りました。最後に一位を追い越したゴール直前の傾斜の箇所は、自分として一番得意な部分でした。レース中、「2位にはなれる」という感触はあったのですが、もう最後は本当に頭が真っ白になるぐらい死に物狂いで頑張りました。最後にすごく声援が聞こえてきて、本当に力になりました。地元なのでぜひタイミングがあえば、来年以降も出たいと思います。



【レース結果】
■男子 シングル 1位:田中聖土 03:36.28 2位:鈴木嵩一朗 03:53.21 3位:一橋聖也 04:17.56 ■女子 シングル 1位:布施愛里 05:11.22 2位:Hyunji KANG 05:15.51 3位:滝澤空良 05:17.27 ■男子4×100mリレー 1位:階段スプリンターズ 02:25.19 2位:TWIST SAPPORO 02:40.33 3位:空自千歳剛クラブ 02:58.44 ■オープン4×100mリレー 1位:スタイルジム 03:05.45 2位:HTBイチモニ! 03:11.39 3位:ちーむ ゆうぽよ 03:14.73 ■学生4×100mリレー 1位:東海fenix 02:22.19 2位:東京都立大学 陸上競技部 02:23.74 3位:山部太郎 02:26.85【Red Bull 400】
「Red Bull 400」は、世界で最も過酷と言われる坂道ダッシュレースです。2011 年にオーストリアで初めて開催され、日本では 2017 年を皮切りに今年で 8 回目の開催となります。毎年全国各地から参加者が集い、これまでに延べ 約9.000人以上がこの過酷なレースに挑戦してきました。最高斜度は富士山の山頂付近の傾斜(32 度~35 度)を超える 37 度、高低差は札幌市のシンボル「さっぽろテレビ塔」に匹敵する約130m に及び、心拍数は平常時の約 2 倍~3 倍まで上がると言われています。 2019 年にはレッドブル・アスリートでトレイルランナーの上田瑠偉選手が 3 分 23 秒 13 の最速記録を樹立しました。



