『伝授』第7回 予想における斤量の考え方を伝授

当然のことながら競馬は騎手が負担重量を背負ってレースをする。

一般的に「斤量1kgで1馬身差がつく」と言われているが、必ずしもそうだとは思わない。

今回は斤量について、俺なりの考えを書いていきたい。

・斤量は何kgなら重たいのか?

そもそも馬は背中に荷物を乗せて歩くことができることから、家畜として飼われるようになった。つまり、重たいものを背負って歩くのに強い生き物ということだ。

だから、ある程度の重さは大丈夫なのだろうけど、斤量の1kg増が馬にとってどのくらい影響があるのか俺には全く分からない。とはいえ、「1kg1馬身」だと決めつけるのは良くない。

予想の際に斤量を気にしないと言えば噓になるが、実際に影響しているのかどうか分からないというのが本音。

馬にとってどのくらい影響があるのか? これまで何人かのジョッキーに聞いたこともある。

「58、59kgは重たいのか?」と聞くと、みんな「重たい」と言う。理由を尋ねると「普段乗っていないから」だそうだ。

また、軽い斤量についてジョッキーたちは口を揃えて「52kg以下はみんな一緒だ」という。乗っている感覚的にそう思うらしい。

2024年のシリウスステークスは59.5kgを背負ったハギノアレグリアスが勝った

・小柄な馬が斤量を背負っただけで見限るのは早計

小柄な馬が斤量を背負うとそれだけで敬遠する人がいるが、どういうタイプの小柄か考えることが大事だ。

例えば小柄な馬でも筋肉がしっかり付いているなら問題ない。だけど、非力なで小さな馬はさすがに重い斤量は堪えるだろう。

それだけでなく、俺はコースも見て判断する。中山のようにゴール前で坂があってパワーがいるコースや、東京のようにそれなりにメンバーが揃うところなら割引材料になるけど、例えばローカルの福島ならメンバーが落ちるし、小回りなので小柄な馬が重い斤量を背負っても勝つかもしれないなと思う。

小柄でも走っている馬はたくさんいるし、ハンデを背負うというだけで見限るのは良くない。


・ハンデ戦の馬券の買い方

俺の記憶ではハンデを決めるハンディキャッパーは、昔は水曜日に調教をみて、馬の状態とか加味して水曜日の午後にハンデを発表していた。調教を見て「馬の状態が良いから」などと主観を入れて重くしたりしていた。いま思えば信じられないことをやっていたな。

だけど、今は月曜日にハンデを出すようになって、実績があるからこのくらいの斤量にしましょうとか、このくらいクラスが違えば何kg軽くしましょうとか、成績やクラスから判断しているので、発表されるハンデはおおよそ妥当だと思う。

俺は馬券を買う際、斤量だけを気にして馬券を買うことはない。

まず、その馬自体を買うかどうかだけで決めている。そして、その馬がレースを使ってきた条件が自分のイメージに合わない場合には買うのをやめる。

イメージとは、このジョッキーには合わなさそうだなとか、馬場状態が道悪でこの馬には合わないなとか付属の要素を考える。そこがクリアしても、パドックで馬を見て感覚的に状態があまり良くなさそうだなとか、単勝500円つくと思っていたのに、蓋を開けてみたら200円で妙味がない場合などはやめることもある。

斤量に関しても、俺が思っているよりもハンデを1kg以上見込まれた場合にはブレーキは踏む。

最終的に買うかどうかはこういった色々な要素を加味するので、あくまで斤量は判断材料の一つに過ぎない。

ちなみに、競馬新聞で「58kgのハンデなので今回はキツい」みたいに書いている場合があるけど、それは予想記事の方向性として他の本命馬を推したい結論ありきで、実績があってハンデを背負う馬を嫌う理由に斤量を持ち出しているだけという場合もあるので、あまり鵜呑みにしない方が良い。

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