神功皇后は、なぜ身重のまま遠征したの?神功皇后による新羅遠征と出産の神話とは【図解 神道】

神様のお告げに従うため
ヤマトタケルは皇位に就くことなく世を去りましたが、御子は即位して第14代仲哀天皇となりました。その皇后が神功皇后です。神功皇后は神霊を身体に依り憑けてお告げを聞く巫女の素質があったらしく、天皇に従って筑紫に行った時にも神のお告げを受けています。この時、天皇は琴を弾き、武内宿禰が審神者(神のお告げを判断する役)になって神様に託宣を願いました。
おそらく遠征が成功するかを尋ねたのだと思いますが、現れた神様は「西の方に国がある。金銀珍宝あふれるその国を、お前に服従させてやろう」と言ったのです。しかし、天皇は偽りを言う神と思い込んで、琴を弾くのをやめてしまいました。このため怒った神様の祟りで命を失ってしまいます。
驚いた神功皇后は国中の清めを行なって神様に詫び、再び託宣を願いました。すると神様は、「この国はお前のお腹にいる子(のちの応神天皇)が治めることになるだろう」と言い、自らが住吉神であることを明かしました。そして、遠征に成功するために天地の神を祀るように教えたのです。
教えの通り祀りを行なって船を乗り出したところ、風と波が船を押して新羅の中央部まで一気に進軍することができたのです。その勢いを恐れた新羅王は服従することを誓ったといいます。遠征から戻った神功皇后は無事出産を果たしますが、先に生まれていた仲哀天皇の皇子たちが2人の命を狙って蜂起しました。皇后は子どもは死んだと嘘の噂を流して相手を欺き、油断したところを襲って打ち倒したのでした。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』監/渋谷申博
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』
著:渋谷 申博
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