触っても、嗅いでもダメ、食べるのは絶対ダメ! [カエンタケの毒]【眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話】

触っても、嗅いでもダメ、食べるのは絶対ダメ! [カエンタケの毒]
致死量はわずか3gの激ヤバキノコ
名前の通り火炎のような姿が特徴のカエンタケ。日本には5000種以上のキノコが存在するといわれ、いわゆる毒キノコは200種以上が確認されていますが、カエンタケもそうした毒キノコのひとつ。毒キノコのなかでも最強の毒を持つともいわれます。
カエンタケは、カビ毒の一種「トリコテセン」という毒性成分を持っています。ベトナム戦争で化学兵器として使われたほどの猛毒です。
この毒キノコの致死量はわずか3g。食後10~30分ほどで吐き気や下痢、体のしびれなどがあらわれ、重症のケースでは数日で死に至ります。命が助かっても脳に障害が残ることも。
さらに、トリコテセンは皮膚からも吸収され、触れただけで炎症を起こしてしまうので要注意です。また、カエンタケから放出された胞子でも、目や呼吸器などに炎症が起きる可能性があり、猛毒のついた指を目や口にやろうものなら、とんでもないことになります。
これほどの猛毒キノコでも誤食による食中毒の報告があるのは、食用のナギナタタケに似ているためです。カエンタケはナラ枯れ(ブナ科の樹木を枯らす病気)が起きた森林に発生する傾向があります。日本ではナラ枯れが増えた近年になるまでこのキノコが珍しかったことも、誤食の背景として考えられるかもしれません。
火炎のような派手な見た目
真っ赤な色に火炎が立ち上がっているような特徴的な見た目だが、食用のナギナタタケとよく似ているため間違って口にしやすい。過去には死亡事故も起きている。
毒は皮膚からも吸収される
カエンタケの持つトリコテセンという成分は、化学兵器としても使われた猛毒。皮膚からも吸収されるので、素手で触れたりしないように。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』
監修:船山 信次
日常生活のなかで、毒性のあるものを誤食したり、毒を持つ生物に触れたりして中毒症状が出たというケースは少なくありません。
スイセンやキノコの誤食など毎年のように発生しており、毒は非常に身近な存在です。
本書はまず毒とはなにかという毒の定義や作用などの基礎を化学や薬学の知識がない人にもわかりやすく解説。
例えば「地球上で最凶の毒は?」「青酸カリって舐めても大丈夫?」など、気になる毒の雑学とともに紹介します。
また、毒を持つハチ、カエル、クラゲなどの生き物やスイセン、アジサイ、トリカブト、カエンタケなどの植物やキノコ、アスベスト、ダイオキシン、火山ガスなど環境系の毒、
依存度が高いコカイン、危険ドラック、覚せい剤などの麻薬……etc.
人体に影響を及ぼすあらゆる毒を収録!
誰かに教えたくなる毒の最新知識や雑学が詰まった一冊です。
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