表情から現在の置かれている環境を見る
顔はその人の現在の姿を見るには最も優れています。どんな家庭環境で日々を過ごしているのか、会社での立場や仕事の内容、また、どんな地位や役職で活躍しているのか、いないのかなども顔の表情でわかります。家族に恵まれていれば、その充実感が顔ににじみ出ています。仕事が思いどおりに進んでいれば、顔も生き生きしています。反対に家庭に問題があったり、仕事で悩みを抱えていたりする人は表情が顔に出ています。表向きは明るく振る舞っていても、横顔にふと寂しげな表情を見せたりする人は、内面は厳しいのだろうと察することができます。
顔はその一瞬の表情にすべての心を表している場合があります。顔の表情から相手の置かれている環境が読めるようになれば、人相見としては一流です。
表情から来るべき未来を見る
人間には運が興隆する時期が三種類あります。初年運(十代以前から二十代)の人、中年運(三十代から五十代)の人、晩年運(六十代以降)の人で、それぞれに運のよい時が二十年くらいはあります。
若い時や中年の苦労が実り、最後に花が開く晩年運の人がいちばん恵まれているでしょう。なぜなら精神的、経済的にも、また家族にも恵まれ、幸せな老後を迎えられるからです。老いてますます盛んで元気な人はこのパターンの人が多く、日本人の六割は晩年運の人でしょう。
長寿の人は腹六分目で、楽天的で、くよくよせず、感謝の心を持ち、日々の生活を楽しんで生きている人が多いようです、年齢を重ねて、ますますよい顔の好こう々こう爺やになる人もいれば、頑固じじいになる人もいます。現在の顔(原因)を見ることで、未来の顔(結果)がわかります。例えば、八十歳を過ぎている人でも、目が生き生きと輝いていれば、脳も活性化して、これから先の人生を活動的に送ることができます。しかし二十歳代でも、目がとろんとしていて、死んだ魚のような目をしている人は、要注意です。
まず、目が生き生きと輝いているかを見ていきましょう。顔はその人のこれまでの生き様をもろに写し出します。現在の生き方を見れば、未来は自然とわかります。年輪を重ねた味わいのある顔になるように、常日頃から努力することが大切です。また、他人の顔を何気なく観察することで、いつの間にかその人の未来が見えるようになります。
【出典】『改訂版 基礎からわかる 人相学の完全独習』著:黒川兼弘
【書誌情報】
『改訂版 基礎からわかる 人相学の完全独習』
著:黒川兼弘
「人を見抜く方法」は、外面に表われている印象や雰囲気、顔の造作を形作っている一つひとつのパーツ等から、判断することが基本となります。
人の顔は百人百様、千差万別ですが、よく観察し、分析、整理していくと、顔のパターンや共通点が見えてきます。その共通点と性格、考え方の関係性のデータを数千年に渡り積み上げて作られた学問が、人相学なのです。
ぜひ本を参考に、顔つきからその人の内面や性格の癖を見抜く力を養い、相手の立場を想像し、広い視点で人間関係を豊かにしていただきたいと思います。
2018年小社刊行の『基礎からわかる 人相学の完全独習』を再編集したものです。
公開日:2024.11.04