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酵母とカビとキノコって、微生物なの?【微生物の話】

Text:山形洋平

酵母もカビもキノコも人間と同じ真核生物だ

前項でも述べましたが、酵母やカビ、キノコなどは微生物で、私たちと同じ真核生物です。

パンやお酒(アルコール)などをつくる主役が酵母です。ほかにもぬか漬けや味噌、醤油、ある種のヨーグルトなどにも含まれます。

一般的に酵母は、単細胞で増える真核生物に分類されています。細胞の一部から芽が出るように膨らんで新しい酵母細胞ができるタイプのものを出芽酵母といい、パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)やビール酵母(Saccharomyces cerevisiae,Saccharomyces pastrianus)などが有名です。出芽ではなく細胞分裂で増殖するタイプもいて、分裂酵母と呼ばれています。

いっぽう、カビとキノコは多細胞生物です。それぞれ、細胞の先端を伸ばして成長します。細胞の増え方としては、出芽でも分裂でもなく、細胞の先端がどんどん伸びていってある程度の長さにまで伸びると、その伸びた細胞の途中に細胞壁ができて2つの細胞になります。成長しているカビやキノコの体(菌体)を菌糸と呼びます。前項で述べたように糸状菌と表すこともあります。

一本の菌糸は、もともと1つの細胞が伸びたものなので、成長方向にはたくさんの細胞が並んでいますが、太さは1つの細胞のままです。ほとんど透明で、光に反射しても白く見える程度なので、肉眼ではよく見えないことになります。

酵母もカビ、キノコも有性世代と無性世代という2つの生活環(せいかつかん=ライフサイクル)を持っています。ふつうの状態では、それぞれの細胞から分裂や発芽などで細胞を増やしていくため、古い細胞と新しい細胞は、まったく同じ細胞(クローン)となります。ただし、栄養がないなど、なんらかの環境変化が生じるとオスとメスの役割を果たす2種類の細胞が細胞融合(接合)して有性世代に突入します。出芽酵母などは、この状態で成長することもできますが、多くの真核微生物は、すぐに無性世代に戻ってしまいます。

有性世代から無性世代に戻るとき、オスの役割をする個体とメスの役割をする個体の持つ染色体の組換えが起きます。新しく無性世代を形成する細胞は、元の両親の細胞とは異なった両親の遺伝子をシャッフルした一揃いの遺伝子群を持つことになります。

カビやキノコは、胞子で増えます。カビには、有性世代でできる有性胞子と無性世代でできる無性胞子の2種類があります。私たちがカビを見つけた(そう思った)ときは、多くの場合、色のついた無性胞子を見ているのです。

いっぽう、多くのキノコは、胞子→無性世代→有性世代→胞子となります。私たちがキノコと思っているのは、この胞子をつくるための器官(子実体)なのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 微生物の話』
著者:山形洋平  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1961年生まれ。東京農工大学農学部農芸化学科卒業。東北大学大学院農学研究科農芸化学専攻(博士課程後期)修了。東北大学農学部助手、東京農工大学共生科学研究院准教授、東京農工大学大学院農学研究院准教授を経て、現在は東京農工大学大学院農学研究院教授。農学博士。趣味は、醗酵食品の食べ歩きと醸造飲料の飲み歩き。


「微生物」は私たちの身の回りにあふれている! ウイルス、細菌(バクテリア)、菌類(酵母、カビ、キノコ等)など、とても小さく顕微鏡でなければ見えないけれど、私たちの生活のさまざまに関係、影響している。「ウイルスの正体は?」「毎日のように口にする味噌、醤油、酢などの調味料、またビール、ワイン、日本酒をつくる醗酵とは?」「私たちのお腹の中に棲む数百種類100兆個もの細菌の役割は?」———地球上に最初に誕生し、ヒトをはじめとするあらゆる生物の進化や暮らしに影響を与え続けてきた存在でありながら、まだまだ多くの謎や不思議に包まれいる「微生物」。その謎と不思議をわかりやすく図解で伝える。微生物のことがわかると、生活上のいろんな疑問もすべて納得、解決する!

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