楽しい時間がいつの間にか…
ほとんどの依存症は、誰の日常にもあるような驚くほどささいなことがきっかけで始まります。例えば、仲間や職場の飲み会に参加したり、先輩からパチンコに誘われたり、友人と一緒にゲームをしたり……。最初は、それほどお酒がおいしいわけでもなく、パチンコやゲーム自体にのめり込まないことも多々あります。これは薬物も同じで、1回目は夢中になるよりも、こんなものかと拍子抜けするほうが実は多いのです。ただ、一緒に楽しい時間を過ごせたうれしさや、秘密を共有する仲間意識、もっと繋がりたいという気持ちから繰り返し、いつの間にかハマっていく場合があります。やがて、大切にしていた楽しい時間や人間関係よりも、アルコールやギャンブル、ゲーム、薬物など依存対象そのもののもたらす快感や苦痛の軽減が目的となり、やめたくてもやめられなくなってしまうのです。
一般的に、アルコールや薬物といった依存性が強いものほど、依存症へと進みやすいのは事実です。ただ、同じように飲酒を続けていても、全員がアルコール依存症になるわけではありません。その分岐点は、生きづらさや苦痛を感じていても相談する相手がいないなど、本人が問題を抱えているかどうか。さらに、簡単に手に入る、あるいは繰り返し行いやすいといった依存対象との相性によっても左右されます。
「ハマる」から徐々に依存症へ
依存症の入り口は、日常生活によくある「たまたま誘われて、楽しい時間を過ごした」「よい気晴らしをしただけ」がほとんどです。
「ハマる」きっかけはささいなこと!
仕事の接待で週3飲み会
先輩に誘われたパチンコでビギナーズラック
収入が多い頃の金銭感覚のまま買い物をする
彼氏にすすめられて覚醒剤
そのもの自体にハマって依存症に!
依存対象との相性のよさも関連
飲酒してもアルコール依存症になるとは限りません。ストレスが多い、お酒が好き、飲む機会が多いなど、対象との相性のよさや入手のしやすさなども関係します。
本人
・ストレスや不安が多い。
・自尊心や自己肯定感が低い。
・人間関係のトラブルや孤立。など
人依存対象との相性
・お酒を飲む機会が多い。
・ビギナーズラックで大当たり。
・違法薬物で仲間ができた。など
相性がよいと依存症になりやすい!
出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之
【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著
特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。
公開日:2023.08.07