瞬時に過去の犯罪者の指紋と照合
かつては手作業で行われていた現場指紋の照合も、現在ではコンピュータを使った「自動指紋識別システム(AFIS=エイフィス)」によって迅速に行っています。
AFISの研究は1960年代から始まり、アメリカのFBI(連邦捜査局)が1978年ごろ初めて導入し、日本の警察庁では1982年から使用しています。
AFISには警察庁の指紋センターが管理する指紋データベースが使われます。このデータベースには、過去に検挙された犯罪者の指紋が800万件以上、過去に発生した犯罪現場に残された現場指紋が数十万件も登録されています。
AFISによる照合は、犯罪現場に残された現場指紋と、保存されている過去の犯罪者の指紋を照合する遺留指紋照合が一般的です。
照合の速度は、1件につき0.1秒未満と極めて速く、一致しない指紋を次々に除外していき、前述した特徴点が同一とされる指紋をはじき出します。採取した現場指紋が部分的な場合でも、その部分を使って一致する指紋を見つけ出します。
特徴点が12点一致すれば、確率的にいえば、指紋の隆線特徴点が8点一致すると1億分の1の確率、12点の一致したものが現れる可能性は1兆分の1の確率となり、世界人口73億に対して指紋の特徴点が12点一致することは、確率的には本人以外あり得ないことになります。
ただ、AFISが行うのはあくまで特徴点の一致の検索であり、最終判断は指紋の専門技術者が個々に分析して行うことから、最後は人間の眼の力量となります。
出典:『図解 科学捜査』監修/山崎昭
【書誌情報】
『図解 科学捜査』
監修:山崎昭
科学捜査は驚くほど進化している。血液や指紋・DNA鑑定、顔認証システム等の画像解析やインターネットを駆使した情報分析など、微細な証拠から犯行の立証、犯人逮捕に結びつけている。刑事ドラマや推理小説などで活躍する科学捜査の実体、その最先端の技術、方法など全貌を図解で徹底紹介!微細な証拠も大いに真実を語る、犯罪は絶対に見逃さない。
公開日:2021.09.12