進歩するDNA型鑑定
「最近の犯罪は複雑をきわめ、DNA型鑑定もさらに精密で確実な方法が模索されています。そこで注目を浴びているのが、「SNP(スニップ)」を活用したDNA型鑑定です。
SNPとは、ヒトゲノムの塩基配列の中で1塩基だけ別の塩基に置き換わったものをいいます。一塩基多型ともいい、複数形はSNPs(スニップス)といいます。
人の保有する約30億個ある塩基対の配列のうちSNPは約1000万ヵ所、このうち遺伝領域には約100万ヶ所存在します。約1000塩基に1個の割合でSNPはあるとされています。このSNPの変異や挿入・欠損を解明することで容姿や体質など人の身体的特徴がわかるようになるといわれています。
しかし、このSNP鑑定はひとつの部位では3種類しか分類できません。ただ、多数調べることで、従来のSTR法でも難しかった、微量の試料や、保存状態が不完全な試料でもDNA型鑑定が可能となってきています。
今、このSNPは医療の世界でも注目を浴びています。身長や体型などの外見の違い、糖尿病や肥満、高血圧などの疾患のかかりやすさにSNPが関与しているとされる研究が次々と報告されています。そこで、近未来の「オーダーメイド医療」への応用が期待されているのです。
また、新しい遺伝子検査におけるSNP解析に、「DNAチップ」が使われるようになりました。DNAチップはガラスやシリコン基板の小さなプレート(チップ)上で同時に数万〜数十万の遺伝子をチェックできるようになっているため、一度に大量のSNPの解析が可能となった優れものです。
出典:『図解 科学捜査』監修/山崎昭
【書誌情報】
『図解 科学捜査』
監修:山崎昭
科学捜査は驚くほど進化している。血液や指紋・DNA鑑定、顔認証システム等の画像解析やインターネットを駆使した情報分析など、微細な証拠から犯行の立証、犯人逮捕に結びつけている。刑事ドラマや推理小説などで活躍する科学捜査の実体、その最先端の技術、方法など全貌を図解で徹底紹介!微細な証拠も大いに真実を語る、犯罪は絶対に見逃さない。
公開日:2021.09.18