ゼウスとヘラの間に生まれた、戦場での流血を好む残忍な神
ゼウスとヘラの間には青春の女神へべ、戦争の神アレス、出産の女神エイレイテュイアといった子どもがいます。
戦争を司る神はもうひとり、女神アテナがいます。ゼウスと最初の妻である知恵の女神メティスとの間にできた娘ですが、我が子の謀反(むはん)を恐れたゼウスは、メティスごと胎児を呑み込んでしまいます。
アテナは父ゼウスの頭の中で成長し、その額を割って生まれ出ました。
同じ戦争を司る神でありながら、聡明(そうめい)で慈悲深く、武勇を司るアテナに対し、アレスは殺害や流血が繰り広げられることを楽しんでいました。
その残虐(ざんぎゃく)さから、ほかの神々にも疎(うと)まれることが多かったアレス。12神としては目立った功績もあまりありません。ただし、その姿はまばゆいばかりの美男とされています。
ゼウスが頭から娘を生んだことに対抗したヘラが、単独で生み出した鍛治の神ヘパイストスは、美の女神アフロディテの夫に。
アフロディテの不倫相手だったアレスは、ヘパイストスが寝室に仕掛けたワナにはまり、アフロディテと全裸で抱き合う姿を神々にさらされ辱(はずかし)めを受けるという、不名誉な話でも知られています。
*ヘベとエイレイテュイア:ヘベは青春を司る美しい乙女の神。母ヘラにもっとも愛された。エイレイテュイアはヘラによく仕えた、出産や産婦の保護者たる神。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』
著者:鈴木悠介 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
早稲田大学卒業。予備校講師(世界史)。現在は各地でのライブ授業に加え、YouTubeの予備校「ただよび」やオンライン予備校「学びエイド」などの映像配信授業でも活躍中。また教育系YouTuberとしての顔も持ち、YouTube「すずゆうチャンネル」ではさまざまな世界史コンテンツを発信している。
恋多き神々の王・ゼウス、神々を従える最強の神・トール、4本腕の荒ぶる神・シヴァ。 個性豊かで魅力たっぷり! 世界の神様のキャラクターを大解説! ギリシャ神話、北欧神話、ケルト神話、エジプト神話、インド神話、メソアメリカ神話。人気抜群の神々と英雄たち32神(人)の性格とエピソードを、イラストと図を交え、わかりやすく紹介します。神々たちの愛憎ドラマのギリシャ神話、世界樹の下、終末に向かって突き進む北欧神話、妖精も登場するケルト神話……。神々と怪物、巨人、英雄たちが繰り広げる壮大な戦いや奇想天外な天地創造の物語など、想像を絶する神話のストーリーと世界観もくわしく解説しました。世界の神々を知ると、映画、小説、テレビドラマ、マンガ、ゲームがもっと楽しくなります!
公開日:2022.09.11