世界中に響く角笛で最終戦争の開戦を伝える
アース神族が暮らすアースガルドには虹の橋ビフレストが架かり、それはほかの世界へ通じる橋でした。その橋の番人をしていたのが、ヘイムダルです。
ビフレストを見渡せる位置に建つ豪奢(ごうしゃ)な館ヒミンヴョルグに住み、黄金の歯を持つヘイムダルは、アース神族一のイケメン神。「白いアース」とも呼ばれています。
母は、海神エーギルの娘である9人姉妹というなんとも奇妙な出生。9人姉妹は波の象徴でもあることから、ヘイムダルは波間に輝く太陽の反射をキャラクター化したのでは、という説が有力。また、ユグドラシルの9つの世界と関連しているという説もあります。
世界中を旅したヘイムダルは、3人の女性との間にそれぞれ子どもをもうけます。後に子どもたちは、奴隷、農民、王族という階級のもとになったため、ヘイムダルは、人間社会を創造した父とも考えられています。
100マイル先まで見える視力、植物が成長する音や動物の毛が伸びる音を聞き分ける聴力、鳥より短い睡眠時間と特殊能力が満載。
最終戦争ラグナロクでは、角笛ギャラルホルンで世界中に開戦を知らせ、戦士を集結させます。最後には、かねてからのライバルだった悪神ロキと戦い、ともに死を遂げます。
*ビフレスト:神々が地上からアースガルドへとかけた虹の橋で、「ぐらつく道」という意味。ヘイムダルはこの橋のたもとで番をしている。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』
著者:鈴木悠介 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
早稲田大学卒業。予備校講師(世界史)。現在は各地でのライブ授業に加え、YouTubeの予備校「ただよび」やオンライン予備校「学びエイド」などの映像配信授業でも活躍中。また教育系YouTuberとしての顔も持ち、YouTube「すずゆうチャンネル」ではさまざまな世界史コンテンツを発信している。
恋多き神々の王・ゼウス、神々を従える最強の神・トール、4本腕の荒ぶる神・シヴァ。 個性豊かで魅力たっぷり! 世界の神様のキャラクターを大解説! ギリシャ神話、北欧神話、ケルト神話、エジプト神話、インド神話、メソアメリカ神話。人気抜群の神々と英雄たち32神(人)の性格とエピソードを、イラストと図を交え、わかりやすく紹介します。神々たちの愛憎ドラマのギリシャ神話、世界樹の下、終末に向かって突き進む北欧神話、妖精も登場するケルト神話……。神々と怪物、巨人、英雄たちが繰り広げる壮大な戦いや奇想天外な天地創造の物語など、想像を絶する神話のストーリーと世界観もくわしく解説しました。世界の神々を知ると、映画、小説、テレビドラマ、マンガ、ゲームがもっと楽しくなります!
公開日:2022.09.25