意地悪した人もエサをくれた人も覚えてます
カラスをいじめると後々まで仕返しされる、という話を聞いたことはありませんか?仕返しはしないと思いますが、相手を特定して警戒することはあります。カラスの立場で言うと、自分を狙う相手を覚えておくのは当然です。例えば、学校の用務員さんが落ち葉を掃除していたときに、カラスの貯食も一緒に掃除してしまうので、作業服を着た人間を嫌うようになった、という話があります。逆に、何年も観察していたらカラスが私を覚えたのか警戒されなくなった、という経験もあります。
実験によると、カラスは人の顔を覚えることもできます。最初は服装などを手がかりにしているのですが、どんどん条件を厳しくして、最後は全員が白衣を着たモノクロ画像でも識別できたとのこと。ということは、顔を覚えたのでしょう。もちろん、エサをくれる人も覚えます。大学院生のとき、ずっと観察していた野生のカラスに実験のため給餌してみたことがあります。すると、翌日は私が調査地に行くなりすっ飛んできました。2年くらい頻繁に通っていたので、すでに顔は知っていたのだと思いますが、「いつものあいつはエサをくれる」と覚え直したのでしょう。ちなみに車も記憶することがあるようです。調査のときに乗っていたのと同じ車種、同じ色の車に対して威嚇していたことがありました。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』
著: 松原始
「カラスはなぜ怖いのか?」がわかる本!黒い羽を虹色に輝かせ、時に人を威嚇し、悠然と街を歩く。不吉なシンボルとされる方、賢さで知られる彼らの生態や魅力を面白く伝える1冊です。「カラスはほんとは怖くない!? 」「 読めばよむほど、好きになる!?」
公開日:2021.05.19