ゴミ漁りは「自然界の掃除屋」の使命
カラスはゴミを漁ります。漁るだけならいいんですが、後を散らかしていきます。ですが、あれは別にいたずらしているわけではありません。カラスはもともと、動物の死骸や、他の動物の食べ残しを漁ることがあります。こういう動物をスカベンジャーといい、コンドルやハゲワシなど、動物の生き方としてごく普通にあります。動物が死ぬと分解されて、いずれ土に還りますが、その第一段階として働いているとも言えるでしょう。オオカミやライオンなどが獲物を仕留めて食べていると、その周囲には必ず、おこぼれを拾おうと集まってくる動物がいます。カラスもその中の一つです。北海道で死んでいるエゾシカを食べようと、オジロワシ、キタキツネ、ハシブトガラスなどが集まっているのを見たこともあります。
人間が食べ残しをゴミとして出す場合も、カラスはやっぱり漁りにきます。猟師さんによると、山で獲物を解体していると、どこからともなくカラスがやってくるとのことでカラスにとっては人間も「食べ残しを置いていってくれる動物」扱いです。公園でお弁当やおやつを盗まれたりするのも同じですね。ただし、燃えるゴミにはカラスが食べないものも入っています。紙、割り箸、野菜クズなどです。こういうものは引っ張り出してから「食えない!」とブン投げるので、結果として散らかしてしまうわけです。カラスの分別は「食えるゴミと食えないゴミ」だけです。
もし、世界にカラスがいなかったら
●ネズミや毛虫を食べてもらえなくなる。
●動物が死んでいてもなかなか分解されない。
●川や海のエサを食べて陸に糞をするカラスがいなくなることで、陸上と水域の栄養が循環しない。
●貯食の残りが発芽したり、他の生き物のエサになったりしない。
などの可能性も
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』
著: 松原始
「カラスはなぜ怖いのか?」がわかる本!黒い羽を虹色に輝かせ、時に人を威嚇し、悠然と街を歩く。不吉なシンボルとされる方、賢さで知られる彼らの生態や魅力を面白く伝える1冊です。「カラスはほんとは怖くない!? 」「 読めばよむほど、好きになる!?」
公開日:2021.05.22