我が家の作り方、教えます
我が家と言っても、鳥の巣は人間の家とは違いますけどね。成鳥は使わないので、ベビーベッドみたいなものです。カラスの巣の基本は、木の上に木の枝で作ることです。ハシブトガラスは巣が見えるのを極端に嫌うようで、常緑樹のほうが好きです。落葉樹しかなければ、葉っぱが出てから巣を作ります。ハシボソガラスはもう少し好みが広く、丸裸の落葉樹に営巣していることもあります。
巣の外側(外巣)は枝など、ある程度、硬い素材を使います。ハンガーなどを使うのもここです。ハンガーをベランダから盗むのは枝を折り取るより楽でしょうし、ハンガー同士が絡み合うので作りやすいのかもしれません。ただ、近所に適当なアパートやマンションがなければ手に入りませんね。巣の内側は産さん座ざ と言って、もっと柔らかい素材で作ってあります。細い枯れ草や藁わら、動物の毛などです。これも街中ではビニール紐を裂いたもの、落ちている犬の毛なども使います。動物園でラクダやバイソンの毛を引っこ抜いてくることもあります。産座はメスが自分の体を押し付けて、巣材を編み込みつつ、ゆっくり回りながら作ってゆきます。そのため、メスの体にぴったり合うオーダーメイドの、きれいな円形の巣ができるわけです。オスも巣作りしますし、産座の材料も運びますが、最終的な仕上げは卵を抱くメスだけが行うようです。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』
著: 松原始
「カラスはなぜ怖いのか?」がわかる本!黒い羽を虹色に輝かせ、時に人を威嚇し、悠然と街を歩く。不吉なシンボルとされる方、賢さで知られる彼らの生態や魅力を面白く伝える1冊です。「カラスはほんとは怖くない!? 」「 読めばよむほど、好きになる!?」
公開日:2021.05.30