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有名エピソード、関羽が華雄を斬り捨てる【三国志】

Text:澄田 夢久

三国志の主役たちが続々登場

初平二年(191)、諸侯たちは続々と所定の場所に到着。連合軍の陣営は二百里以上になった。曹操は諸侯を集めて、進撃の計を談合すると、河内太守の王匡が、「大義を奉ずるにおいては盟主が必要だ。そのうえで盟約を交わし、進軍すべきであろう」と言う。曹操が「もっともだ。袁本初の家は四世三公の名門である。本初どのを盟主にすべきだ」と返すと、諸侯も賛同する。

固辞した袁紹も、最後には承諾し、「わが弟の袁術には軍糧と秣を諸侯に遺漏なきように手配してもらおう。それと誰か一人、汜水関に先行して董卓軍と立ち向かってもらいたい。

諸侯はおのおのの陣地にあって援護を願う」と述べると、進み出たのが袁術配下となった勇猛で聞こえた長沙太守の孫堅。袁紹も諸侯も否やはない。かくして孫堅は自軍の兵を率いて汜水関に攻め寄せていく。

これを知った張飛は、怒り心頭に発し、督郵を宿舎から引きずり出して杭に縛りつけて、折り取った柳の枝で打つことの凄まじさ。劉備が駆けつけると、張飛は「こんな民を害する悪党など、死ぬまで殴らずにおくものか」と息巻くばかり。現れ出た関羽も「こんな督郵ごときに侮られるのであれば、ここは兄貴のような鳳凰の住む場所ではない。こいつを殺して官位を捨て、よそで大計を立てたほうがましだ」と言う。

汜水関の守備隊は、慌てて早馬で丞相府に急を告げた。酒宴に浸る董卓だったが、報を受けるや急ぎ諸将を呼び寄せた。呂布が、自分が迎え撃つと身を乗り出すと、身の丈九尺、虎のような体つきの華雄が、「温侯(呂布)が出るまでもない。私で十分だ」と名乗り出た。その気概に董卓は華雄に五万の兵を預けて汜水関に向かわせた。

汜水関に到着した華雄は、済北国相の鮑信の弟鮑忠軍を撃破。だが、副将胡軫が孫堅に討ち取られる。孫堅は、袁紹に勝利の報告と袁術に軍糧を要請するが、袁術は孫堅一人が手柄を立てることを恐れ、軍糧と秣の補給を怠った。ここに反董卓連合軍が一枚岩でないことが露呈するのである。

軍糧不足の孫堅が華雄の奇襲で一敗したことを知らされると、袁紹ら諸侯は声を失った。劉備、後ろに控える関羽、張飛はそんな諸侯らの狼狽を冷ややかに見ていた。そこに斥候が息を切らしながら、「華雄が、われに挑戦するものはいないか」とおらんでおりますと報ずる。

かくてはならじと、兪渉が飛び出すが、あえなく返り討ち。ならばと潘鳳が立ち向かうが、やっぱり返り討ち。そこで名乗りを上げたのが関羽。だが、関羽は馬弓手に過ぎない。袁術は「弓手の分際で何を言うか」と怒鳴るが、曹操が割って入って収め、熱い酒を注がせて「まずは一杯飲んでから行くがよろしかろう」と勧める。

関羽は、悠揚迫らざる物腰で、「酒はそのままにしておいていただきたい。すぐに戻ってまいりますので」と言うや、馬に跨り出陣。鬨の声が上がり、天は砕け地は崩れんばかりの轟音が響めく。

やがて鈴の音とともに馬が本陣に駆け込んでくると、関羽が華雄の首を地面に放り投げた。酒はまだ冷めていなかった。曹操は、以後、何かと関羽に好意を寄せるが、ただいまの、この瞬間に惚ほれたのだ。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 三国志』
著:澄田 夢久 監修:渡邉 義浩

シリーズ累計発行部数160万部突破の人気シリーズより、「三国志」について分かりやすく解説した一冊。魏・蜀・呉、三国の興亡を描いた『三国志』には、「桃園の誓い」「三顧の礼」「出師の表」「泣いて馬謖を斬る」など心打つ名場面、また「水魚の交わり」「苦肉の策」「背水の陣」「髀肉の嘆」など名言や現代にも通じる格言も数多く登場する。また、曹操、劉備、孫権、孔明、関羽、張飛、趙雲、周瑜、司馬懿など個性豊かで魅力的な登場人物に加え、官渡の戦い、赤壁の戦い、五丈原の戦い等、歴史上重要な合戦も多い。英雄たちの激闘の系譜、名場面・名言が図解でコンパクトにすっきりわかる『三国志』の決定版!