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19.イタリア半島に平民主導の共和制ローマ出現【世界史】

Text:鈴木 旭

貴族と平民が対立しつつ、対外的には協働して周辺都市国家を平定。

前8世紀以前、イタリア半島南部にはギリシア同様、南下したイタリア諸民族と先住民エトルリア人の小都市国家が建設されていた。ティベル河畔下流のローマもその一つだった。

初期のローマは七人の王によって統治された。後半三人の王がエトルリア人だったが、前509年頃、最後の王が追放され、有力貴族の集まりである元老院(げんろういん)が実権を握る共和政体になる。元老院は早速、一年任期で選出する執政官(コンスル)二名に最高指揮権を与えた。

以後、共和制ローマは周辺都市国家を次々に征服して膨張しつつ、内部では軽装歩兵や重装歩兵各隊を担う圧倒的多数の平民(プレブス)が参政権を求めて元老院の貴族と争った。対外戦争で連戦連勝、功績を重ねる平民の力を貴族たちも無下に否定することはできなかった。

平民と貴族はあらゆる分野で対立した。平民の護民官選出、平民会の設置(前5世紀)、貴族の恣意(しい)を許さない成文法「十二表法」制定(前450年)、執政官の一人を平民から登用する法(前367年)、平民会の議決が元老院の承認を経ないで国法となる法の制定(前287年)などだ。一歩一歩、着実に共和政体は進化した。

他方、平民と貴族の同盟を強化しながら先住民エトルリア勢力を駆逐しつつ、イタリア半島中南部の先住民、サムニテス人との前四世紀以来の戦いに決着を付け、南部最大のギリシア人植民市タレントゥムを征服。前270年頃にはイタリア半島全域の統一を成し遂げる。

そして以後、共和制ローマの目は地中海に注がれて行く。シチリアを跳躍台にして、対岸の覇者カルタゴとの対決が日程に上がる。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。

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