◉一般人は使えない色?
天皇、皇太子、親王などが用いる服の色は、一般の人は着てはいけない色として定められていました。これが「禁色」です。
明治時代に規制が緩和され、天皇が使用する黄櫨染と、皇太子が使用する黄丹をのぞく色は使ってもよい色となりましたが、黄櫨染は天皇が重要な儀式のときに礼服を覆う上衣(袍)に使う色で特別なものでありました。令和の即位礼正殿の儀でもこの禁色は見ることができました。
黄丹は黄色に赤色を混ぜた少しくすんだ色です。昇る朝日を象徴している黄色なのです。禁色の中でも黄櫨染と黄丹の2色は特別な色で「絶対禁色」とも呼ばれています。他の禁色には青白橡、赤白橡、深紫、支子、深緋、深蘇芳といった色があります。
◉禁色が私たちに与える影響
禁色は庶民には憧れとしてよいイメージを形成することがあります。ところが黄櫨染、青白橡、赤白橡、黄丹などの禁色は、憧れどころか庶民は見たこともなく、知らない色だったと思われます。
また、聖徳太子が制定したとされる「冠位十二階」の最上位色である紫も禁色でした。紫は高貴で品がよいイメージになりました。実際、紫は染めに大量の紫草を使うので、高価なものでもあったのです。
出典:決定版 色彩心理図鑑
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公開日:2022.05.25