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日本独自のしきたり「春のお彼岸」地域ごとの参り方とは?

日本独自のしきたりで、春分の日を中日とした前後3日の7日間のこと。

 「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、春のお彼岸は春分の日をはさんだ1週間で、まさに季節の変わり目にあたります。そもそも「彼岸」とは、インドのサンスクリット語の「パーラミター(波羅蜜多)」を訳した言葉で、仏教用語で「向こう岸」という意味。煩悩を達してさとりの世界(彼岸)に到ることをいいます。対して、迷いながら生死に苦しむこの世(現世)のことは「此岸」といいます。

仏教では極楽浄土のある彼岸は西方に、現世である此岸は東方にあるとされます。春分を迎え昼夜の長さが等しくなるこの時期、太陽は真東から昇り、真西に沈みます。東西の距離が最も近くなることで、太陽を通じて浄土とかかわることができると考えられ、仏事が行なわれるようになりました。

しかし、インド伝来の仏教用語が起源のこのお彼岸という慣習は、実は仏教発祥の地であるインドにも、日本に仏教を伝播した中国にもない日本独自のしきたりです。先祖を敬い供養するお彼岸はまた、真西に沈む太陽に極楽浄土の往生を願う「日願」ともいわれます。関西などの西日本方面ではお彼岸中の朝、東方に歩いて日の出を迎える、あるいは寺に参る、午後に西
方に歩いて日入りを見送る、または寺に参る「日迎え、日送り」という風習が残る地域もあります。そうすることで、この時期の太陽に宿るパワーをいただくのです。

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出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 日本のしきたり』監修:千葉公慈

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 日本のしきたり』
千葉公慈 監修

「運気を上げる」をキーワードに、「春」「夏」「秋」「冬」の1年を通して行われる暮らしの中のしきたりと、成長や長寿なと?を祝う「通過儀礼」のしきたり、結婚や葬式なと?にまつわる「冠婚葬祭」のしきたりを解説していきます。また、しきたりの「そもそも」と、古来より受け継がれてきたしきたりの変化、地域色、慶事と弔事のしきたりなど、「しきたり七不思議」的な視点で読者の興味を喚起します。日本人ならぜひとも知っておきたい日本のしきたりを図解でわかりやすくまとめて紹介!