すべてに縁起がかつがれた運気満載のおせち料理を歳神様と一緒にいただく。
おせち料理の「おせち」とは「御節供」を略したもので、漢字で書くと「御節」となります。おせち料理は元来、季節の節目となる節日(元日と五節句)に神様にお供えして食べられていたものでしたが、最も大切な日とされるお正月の料理を特におせち料理と呼ぶようになりました。お正月のおせち料理は、歳神様にお供えしたごちそうをおさがりとしていただき、無病息災や家内安全などを願うならわしです。また、歳神様をお迎えする正月の間は煮炊きなどの炊事を慎むというしきたりにもよります。
おせち料理は縁起をかついだ山海の幸をお重に詰めるのがならわしで、重箱に詰めるのは「めでたさを重ねる」という意味から。一の重から与の重までの4段が正式で、「完全」を表す3の数字にひとつ重ねるという意味があり、4段目を与の重というのは「四
し」の音が「死」に通じるためです。料理の品数も奇数の3、5、7などにすると縁起がよいとされています。
ほぼ定番の料理が詰められることが多く、関東では黒豆・数の子・ごまめ、関西では黒豆、数の子、たたきごぼうが欠かせないものとなっています。「三つ肴(祝い肴三種)」といわれ、五穀豊穣と子孫繁栄を願う縁起物です。お正月には両端が細くなっている「祝い箸」が使われますが、箸の一方を歳神様、もう一方を人が使い、神様とともに食事をする「神人共食」を意味しています。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 日本のしきたり』監修:千葉公慈
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 日本のしきたり』
千葉公慈 監修
「運気を上げる」をキーワードに、「春」「夏」「秋」「冬」の1年を通して行われる暮らしの中のしきたりと、成長や長寿なと?を祝う「通過儀礼」のしきたり、結婚や葬式なと?にまつわる「冠婚葬祭」のしきたりを解説していきます。また、しきたりの「そもそも」と、古来より受け継がれてきたしきたりの変化、地域色、慶事と弔事のしきたりなど、「しきたり七不思議」的な視点で読者の興味を喚起します。日本人ならぜひとも知っておきたい日本のしきたりを図解でわかりやすくまとめて紹介!
公開日:2021.09.20