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同じ神様なのに神話の内容が本によって大きく異なっている理由とは?

Text:渋谷申博

『古事記』『日本書紀』「風土記」は目的が違うから

オオクニヌシ(大国主の命)は今も多くの神社で祀られている神様ですが、古代においても人気があり、『古事記』『日本書紀』『出雲の国の風土記』『播磨の国の風土記』などに神話が収録されています。ところが同じ神様の神話であるにも関わらず、語られている内容は、本によって大きく異なっています。たとえば、有名な「因いなば幡の白ウサギ」の話は『古事記』にしか載っていません。『出雲国風土記』では、「天あめの下した所つ 造くらしし大神」(地上を開発された大神)と呼ばれて地上の王としての風格が感じられますが、『播磨国風土記』では、相棒のスクナヒコネ( 小比古尼の命)*と我慢くらべをして失敗する、ひょうきん者として描かれています。

こうした違いは、なぜ生まれたのでしょうか。その話の前に「風土記」について簡単に説明しておきますと、これは713(和銅6)年の詔に基づき、各国の地理・産物・地名の由来などの神話を報告させたものです。朝廷が地方統治の上でどのような情報を必要としていたのか、ここから知ることができます。さて、オオクニヌシの神話ですが、出雲国と播磨国の「風土記」に収録されていることから、この両国に信仰が広まっていたことが知られます。両「風土記」の神話の違いは、両国の信仰の違いと考えていいでしょう。一方、大和朝廷の歴史書(『古事記』『日本書紀』)にもオオクニヌシの神話が収録されているのは、大和朝廷にとって出雲国が最大のライバルであったからと思われます。この強敵を屈服させて支配下においた皇こう祖神(皇室の祖先神)を讃たたえるために、その強さを示す神話が収録されたのです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』
著:渋谷申博

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