神様の領域のものであるから
注連縄は神聖な場所や物であることを示すために張り渡す縄で、締縄、標縄、一五三縄、七五三縄、〆縄とも書きます。藁わらをなってつくり*、垂紙という段々に折った白紙を下げます。 注連縄で区切られた場所や注連縄が巻かれたものは神聖なものですから、立ち入ったり触れたりしてはいけません。神社の境内などにある大岩や巨木に注連縄が張られているのも、それらが神聖なものだと信じられているからなのです。神聖な場所や物を注連縄で結けっ界かいするのは、それらを穢けがさないためですが、同時に人に対する警告でもあります。そうした神聖なものは神様に属するものなので、穢すようなことをすれば罰が当たるからです。でも、なぜ大岩や巨木が神聖なのでしょう。
『古事記』の意義を再発見してその後の神道に大きな影響を与えた江戸後期の国学者・本もと居おり宣のり長ながは、
こんなことを書いています。「人のことはいうまでもなく、鳥ちょう獣じゅう木もく草そうの類たぐい、海山など、何であれ常識を超えてすぐれて徳があるもの、立派なものを神という。『すぐれて』とは尊いこと、善いこと、武勇あることだけではなく、悪しきこと怪しいことも、世にも稀まれなものは神という」つまり、人間の常識を超えるようなものは岩も木も、みんな神様だというのです。それは神社に祀られる神様とは違うものかもしれませんが、人間を越えた神様の領域の存在といえるでしょう。人間の価値観で判断をせず、そうした「神」は畏れ敬うというのが、神道の考え方なのです
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』
著:渋谷申博
「神道には教義がないって、本当なの?」「八百万の神々の中で一番偉いのは、誰?」「鳥はいないのに、なぜ鳥居というの?」 神道の起源から日本の神様、開運神社のご利益まで楽しくわかる! 古代から伝えられてきた日本の心──神道。その奥深い世界を57項目の素朴な疑問からズバリ解説しす。
公開日:2021.06.26
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