スクナビコナを御祭神とする神社など
医薬の神として古くから信仰されてきたのが、スクナビコナ(少名毘古那神)です。オオクニヌシとともに*国造りをした時に、人々に治療法や薬の知識を広めたと伝えられています。大阪市中央区道ど 修しょう町まちに鎮座する少すくな彦ひこ名な 神社は、江戸時代から薬種問屋の信仰を集めてきた神社です。道修町には豊臣秀吉の頃から薬種問屋が集まっており、その守り神として当社は創建されました。今も多くの薬品メーカーの崇敬を受けています。 和歌山市加太の淡島神社もスクナビコナをお祀りしており、とくに女性の健康に霊験があるとされます。
薬品メーカーの崇敬を集めているという点では、奈良県桜井市の狭井神社(大神神社の摂社)が古く、その歴史は古代に遡さかのぼります。第10代崇神。天皇の御代に広まった疫病を収めたことから病気平癒の神として広く信仰されています。 京都市北区紫むらさき野の 今宮町の今宮神社も疫病を鎮めたという由緒をもちます。4月に行なわれるやすらい祭は京の三大奇祭の1つとされますが、開花と共に疫病が広まるのを防ぐとされます(狭井神社の鎮花祭も同様の祭りです)。健康に過ごすために厄やくを人形に遷うつす、やすらい人形も人気です。健康一般ではなく、特定の部位・症状に対応する専門医のような神社もあります。たとえば、三重県大紀町の頭こうべ之の 宮みや四よ 方もう神社は頭部と心の病に霊験があるとされます。また、東大阪市東石切町の石切劔箭や神社は、腫れ物がよくなるといわれ、「でんぼの神様」と呼ばれてきました。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』
著:渋谷申博
「神道には教義がないって、本当なの?」「八百万の神々の中で一番偉いのは、誰?」「鳥はいないのに、なぜ鳥居というの?」 神道の起源から日本の神様、開運神社のご利益まで楽しくわかる! 古代から伝えられてきた日本の心──神道。その奥深い世界を57項目の素朴な疑問からズバリ解説しす。
公開日:2021.06.30