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取る派?取らない派?取って捨てたら損するかも!?ミカンの白い筋の正体とは?【植物の話】

Text:稲垣栄洋

取って捨てたら損するかも―― 白い筋の深い話

ミカンのオレンジ色の皮はフラベド(外果皮)、ミカンをむいて最初に目にする白い筋はアルベド(中果皮)といいます。

フラベドには油胞がたくさんあり、リモネンなどの精油が含まれていて、特有の香りを持っています。リモネンは洗剤の成分としても使われています。また、ミカンの皮を刻んで乾燥させた「陳皮(ちんぴ) 」は漢方の生薬として知られ、薬味などとして料理にも使われています。

アルベドには、ビタミンPが豊富に含まれています。ビタミンPのうち、特にヘスペリジンはミカン由来のポリフェノールで、健康維持のための栄養素として最近注目されています。

実験では、さまざまな薬理的な効果が観察され、ある民間企業の研究所では、ヘスペリジンを含んだドリンクを開発しました。

では、白い筋(アルベド)の正体は? コケ植物以外の植物には、水や養分を植物体全体に運ぶ維管束があります。白い筋はこの維管束で、ミカンのへたを通して葉や根につながっています。白い筋の反対側は、じょうのうとよばれる小袋につながっているのですが、ここにミカンの実のとんでもない秘密が隠されています。

つまりミカンの小袋をむくと、さらに小さな涙型の袋のようなものがびっしりあり、一つひとつに果汁が満ちています。これはミカンの「毛」なのです。

「ミカンは、その毛の中の汁を味わっている、と聞かされるとみな驚いてしまうだろうが、実際はそうであるからおもしろい。もし万一ミカンの実の中に毛が生えなかったならば、ミカンは食えぬ果実としてだれもそれを一顧もしなかったであろう」(牧野富太郎著『植物知識』より引用)

ミカンの構造とその名前

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』
監修:稲垣栄洋  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
植物学者・静岡大学教授。1993年、岡山大学大学院農学研究科(当時)修了。農学博士。専攻は雑草生態学。1993年農林水産省入省。1995年静岡県入庁、農林技術研究所などを経て、2013年より静岡大学大学院教授。研究分野は農業生態学、雑草科学。


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「なぜ夏の木陰はヒンヤリするのか?」
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「植物は数学を知っている?」
「じつは、植物によって光合成のしかたが違う?」
など身近な疑問から、花粉を運ばせるための昆虫だましテクニック、一歩踏み込んだ光合成のしくみまでわかりやすく紹介します。

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