豚やアルコールを口にできないムスリムの人たち
安い賃金で働かされ、文化にもなじめず失踪してしまう移民たち。日本に滞在する外国人が日本で経験する苦労はさまざまでしょう。
食文化の違いも大きな苦労の1つです。特にムスリム(イスラム教徒)の国から来た移民たちは食で苦労するといいます。彼らは宗教上、豚やアルコール由来のものが一切、口にできないのです。
それでは豚肉を食さず、お酒を飲まなければいいのでは? と考えがちですが、たとえば調味料の原料に豚やアルコールが使われていてもNG。特にアルコールは顕著で、みりん、料理酒もご法度です。
市販のしょうゆやみそには、発酵を止めるために、ほとんどといっていいほどアルコールが使われているので、料理に使うことはできないのです。
観光客の受け入れ環境は進む
以前に比べると日本人のムスリムに対する理解は深まっています。空港や百貨店にはムスリム用の礼拝室ができ、ハラール(ムスリムの人たちが口にできる食)を扱うレストランも増えました。
最近ではハラール用のしょうゆができるなど、中近東をはじめとするムスリムの人たちが安心して、日本に滞在できるような取り組みもされています。
しかしこれらは観光客向けの対策です。比較的、食文化が似ている中国人や韓国人、ベトナム人などと違い、ムスリムの人たちが日本で生活するにはまだまだ課題があります。
彼らは移住先として日本を選ぶのを躊躇している状況です。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地政学の話』
著:荒巻 豊志
シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「地政学」について分かりやすく解説した一冊。「地政学」とは、地理的な条件が国家の政治、経済、軍事に与える影響を研究する学問。歴史的背景も関わり、国内・世界中で起こっている諸問題解決の糸口となる、まさに現代に最も必要な知識である。ニュースではよくわからない国際情勢と世界で起こっている現状が見えてくる!
公開日:2020.11.22
オススメ記事
PREVIEW
日本で働く外国人はどの国の人が多いの?【地政学の話】