太陽が水素を使い果たすと膨張して巨大化
太陽の中心部では水素原子4個からヘリウム原子1個をつくる核融合が起こっています。
1個のヘリウム原子はもとの水素原子4個よりもわずかに軽くなり、その失われた質量が太陽の莫大なエネルギーに変わっていくのです。
この核融合の結果、太陽の中心部にヘリウムがたまっていき、ヘリウムの中心核ができます。
すると、高温の中心核はますます重く、高圧になっていき、やがてヘリウムの中心核は自分自身の重力によって収縮し、つぶれていきます。
およそ60億年後、太陽は中心部の水素を使い果たしてしまうと考えられています。
すると中心部の核融合は止まってしまいますが、外側では引き続き核融合は続いていきます。
この結果、中心部は収縮し、外側は膨張を開始します。
膨張した分、表面の温度が下がって赤くなります。このような状態になった恒星を「赤色巨星」と呼んでいます。
夜空で赤く輝くさそり座のアンタレスやオリオン座のベテルギウスも赤色巨星の一種で、それらは年老いた星の印なのです。
およそ80億年後、太陽はその外層が地球の公転軌道付近に達するまで膨張すると考えられます。
その後、太陽はさらに不安定になって、膨張したり収縮したりしながら外層のガスが宇宙空間に広がっていきます。
そして、最後には、大きさは現在の太陽の100分の1ほどとなり、中心核が青白く輝く「白色矮星(わいせい)」として残ります。
質量は現在の太陽の7割程度ですから、非常に密度の大きな星となるのです。
シリーズ累計220万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ
図解シリーズは、右側に文章、左側に図解が乗っているので、本が苦手な人にも理解しやすい構造になっています。
図解シリーズには健康・実用だけでなく大人の学びなおしにぴったりな教養のテーマも。ぜひ手に取って確認してみてください!
気になる中身を少しだけ紹介①!「もし月がなかったら地球はどうなる?」
惑星と衛星がお互いにこれほど作用し合うのは、太陽系では地球と月だけと考えられています。そんな月がなかったら、海の満潮、干潮はもちろんのこと、地球はいまのような「命の惑星」ではなかった可能性があります。
たとえば、月の潮汐力は地球の自転スピードを遅くする作用をしています。もし月がなかったら、地球は1日8時間という猛烈なスピードで回転していたと考えられます。
そうであれば地表も海も大荒れの状態で、もし生命が誕生できたとしても、現在の人類のような進化は望めなかったでしょう。
もし月がなかったら、地球の自転軸は不規則に変化し、大規模な気候変動が起こっていたはず。このように唯一の衛星である月こそが、地球に生命の誕生をもたらしたと考えられるのです。
気になる中身を少しだけ紹介②!「宇宙の膨張は加速しているってホント?」
宇宙が膨張していることが明らかになったのは、1920年代のことです。いずれ膨張のスピードは落ち、やがて収縮していくのではないかと考えられていました。ところが、1998年。驚くべき発見がありました。それは宇宙の膨張は遅くなるどころか、加速しているというものでした。
さまざまな観測結果から、ダークエネルギーは水素やヘリウムなどの通常の物質の約18倍、ダークマターの約3倍存在すると考えられていますが、多くのことはわかっていません。しかし、このダークエネルギーが膨張する宇宙の未来に関わっていることは間違いありません。
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いかがでしたか?本書『眠れなくなるほど面白い 図解 宇宙の話』を手にとって、お読みいただくことで、最新の宇宙の姿について知ってもらうだけでなく、日進月歩の天文学の面白さと、その魅力について知っていただければ、そしてまだまだ謎に満ちた宇宙に親しんでいただければ幸いです。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 宇宙の話』
監修:渡部潤一
地球は宇宙のどこにあるの? 太陽が巨大化するってホント? 宇宙はいくつもあるの? 素朴なギモンに即答.。宇宙のナゾに迫る! 地球の生い立ちから、お隣の天体・月の謎、太陽と惑星の素顔、恒星と銀河、宇宙論まで、最新の天文学、宇宙物理学、惑星科学に踏まえてやさしく解説。豊富なイラスト、約50のテーマで、夢とロマンに満ちた、いちばん新しい宇宙の姿がよくわかります。太陽系のナゾから最新の宇宙理論まで、宇宙のフシギをズバリ解明します!
公開日:2022.10.25