〝出血毒〟と〝神経毒〟の2タイプある [ヘビの毒]
日本の毒ヘビは出血毒の持ち主が主
毒にはさまざまな種類があります。そのうちヘビの持つ毒は、大きく「出血毒(血液毒)」と「神経毒」の2つのタイプに分かれます。出血毒には赤血球を破壊して貧血状態に陥らせたり、出血を止めるための血液凝固を阻害したりする働きがあります。貧血が進むと全身が酸素不足に陥って死んでしまいますし、出血が続けば失血死してしまいます。
もうひとつの神経毒は神経に作用するタイプの毒。体のしびれや筋肉の麻痺、呼吸困難といった症状が急速に起きるのが特徴です。生物毒の代表ともいえるフグの持つテトロドトキシンも神経毒の一種です。
毒を持つヘビのうち、クサリヘビ科は主に出血毒、コブラ科は神経毒を持っています。日本の陸地に生息する毒ヘビ3種中、マムシとハブはクサリヘビ科で、ヤマカガシはナミヘビ科に属します。ナミヘビ科に属するヘビはほとんどが無毒ですが、ヤマカガシは毒ヘビなので注意が必要です。ちなみに、南西諸島近辺に生息するエラブウミヘビはコブラ科に属し、神経毒を持っています。
毒ヘビに噛まれた場合には血清療法が有効で、国内の死亡例は大幅に減っています。ただし、ヤマカガシの場合は咬傷の例数が少ないこともあり、全国でも保管施設は限られています。
日本「三大毒ヘビ」に注意!
① ヤマカガシ
本州から九州にかけて生息。奥歯の根元と首のつけ根の2カ所に毒を持つ。猛毒の持ち主だが、とても臆病なため、刺激しなければ噛まれることもない。
②マムシ
全国に分布。おとなしい性格だが、噛まれると腫れたり皮下出血を起こす。また、重症では腎不全を起こすことも。太く短い胴と背中の銭形の斑紋が特徴。
③ ハブ
沖縄と奄美諸島に生息する日本最大の毒ヘビ。夜行性で性格は超攻撃的。噛まれると血管や筋肉の組織が破壊され、筋肉壊死を起こす場合もある。
毒の強さランキング
・1位 ヤマカガシ
・2位 マムシ
・3位 ハブ
ヤマカガシの毒の強さはマムシの約3倍、ハブの約10倍。逆に性格的にはヤマカガシがいちばんおとなしく、ハブはかなり攻撃的。
日本の陸地に分布する代表的な8種のヘビのうち、毒を持つのはマムシ・ハブ・ヤマカガシの3種。なかでも、攻撃的性格で1回に注入する毒の量が多いハブが最も危険。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』
監修:船山 信次
日常生活のなかで、毒性のあるものを誤食したり、毒を持つ生物に触れたりして中毒症状が出たというケースは少なくありません。
スイセンやキノコの誤食など毎年のように発生しており、毒は非常に身近な存在です。
本書はまず毒とはなにかという毒の定義や作用などの基礎を化学や薬学の知識がない人にもわかりやすく解説。
例えば「地球上で最凶の毒は?」「青酸カリって舐めても大丈夫?」など、気になる毒の雑学とともに紹介します。
また、毒を持つハチ、カエル、クラゲなどの生き物やスイセン、アジサイ、トリカブト、カエンタケなどの植物やキノコ、アスベスト、ダイオキシン、火山ガスなど環境系の毒、
依存度が高いコカイン、危険ドラック、覚せい剤などの麻薬……etc.
人体に影響を及ぼすあらゆる毒を収録!
誰かに教えたくなる毒の最新知識や雑学が詰まった一冊です。
公開日:2025.03.16
