ド派手な体色で「危ない」をアピール [カエルの毒]
皮膚から出る毒が吹き矢にも使われた
ヤドクガエルの仲間は有毒種として知られていますが、なかでも特に危険とされているのがモウドクフキヤガエルです。これらの名前は、生息域である中南米の先住民が毒矢に使用していたことが由来となっています。
モウドクフキヤガエルが皮膚から出す毒成分は「バトラコトキシン」といい、脊椎動物が持つ毒としては最強とされています。具体的には1匹が持つ毒の量で大人10人を死に至らしめられるほど。ヤドクガエル科のカエルは小型種ですが、だからといって油断して手を伸ばそうものなら大変なことになってしまいます。
ヤドクガエル科のもうひとつの特徴として、見た目に鮮やかな、派手な色彩を持つ点が挙げられます。これは「警告色(警戒色)」と呼ばれるもので、毒を持った生き物が捕食者に対し、「自分を食べると痛い目にあうぞ」とアピールする意味があります。
興味深いのは、モウドクフキヤガエルの毒は自分の体のなかで合成したものではないこと。まだ正確なところはわかっていませんが、エサとしている昆虫などから取り込んだ毒物を、体内に蓄積しているのではないかと考えられています。そのため、長期間飼育することで毒性が弱まったり、場合によっては毒性を失うこともあります。
最強の毒の持ち主 モウドクフキヤガエル
カエルのなかでも小型種だが、皮膚から大人10人を殺せるほどの毒を出す。
名前は、原住民がその毒を吹き矢に塗って獲物を捕らえるのに用いたことに由来する。
ペットとして飼育すると毒がなくなる!?
モウドクフキヤガエルの毒は、エサとする昆虫などから取り込まれていると考えられている。したがって、毒を持たないエサで育てられる飼育下では毒性が失われる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』
監修:船山 信次
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公開日:2025.03.17
