LOVE SPORTS

擬態に気づかず踏んでしまうと一大事!? 青い斑点は危険のサイン[タコの毒]【眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話】

Text:船山 信次

青い斑点は危険のサイン[タコの毒]

擬態に気づかず踏んでしまうと一大事

タコといえばスミを吐くイメージがありますが、多くの種類が毒も持っています。その代表といえるのがヒョウモンダコ。日本では相模湾以南の海域に生息しています。ヒョウモンダコは体長10cmほど。見た目は小さくてかわいいタコです。それが脅威となるのは、フグと同じテトロドトキシンという猛毒を持っているためです。獲物を捕食する際、カラストンビ(タコやイカの持つ硬いくちばし部分)で噛みつくと、毒入りの唾液を流し込んで相手を麻痺させます。

タコはもともと擬態が上手な生き物ですが、ヒョウモンダコも普段は岩や海藻に擬態して周囲の環境に溶け込んでいます。それが敵に襲われたり、なんらかの刺激を受けたりすると、名前の由来ともなっているヒョウ紋を青く光らせて威嚇するのです。こうなるとすっかり攻撃モード。噛まれないよう注意しなければなりません。岩などに擬態しているヒョウモンダコに気づかず、何かの拍子に踏んだりしてしまうと大変です。毒が体内に入ると、全身麻痺や呼吸困難を引き起こし、死に至ることさえあります。

猛毒を持つ半面、ヒョウモンダコはスミを吐くことができません。おそらく誰もが恐れる毒という武器を持っているため、わざわざ逃げるためにスミを吐く必要がなくなったということかもしれませんね。

フグと同じ毒を持つヒョウモンダコ

【擬態のプロ】普段は岩や海藻に擬態しているため、気づかずに素足で踏んでしまったら大変。
【スミは吐けない】毒を武器にしていることもあってか、墨袋が退化してスミを吐くことができない。
【唾液に毒成分を含む】唾液のなかに、フグ毒としても知られる強力な神経毒テトロドトキシンを持っている。

ヒョウ紋を青く光らせ威嚇する

刺激を受けると、ヒョウ紋(豹紋)を青く発光させて攻撃モードに入るのがヒョウモンダコの特徴。この光るヒョウ紋は、防御タイプの有毒動物によく見られる警告色の一種。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』
監修:船山 信次


【Amazonで購入する】

日常生活のなかで、毒性のあるものを誤食したり、毒を持つ生物に触れたりして中毒症状が出たというケースは少なくありません。
スイセンやキノコの誤食など毎年のように発生しており、毒は非常に身近な存在です。

本書はまず毒とはなにかという毒の定義や作用などの基礎を化学や薬学の知識がない人にもわかりやすく解説。
例えば「地球上で最凶の毒は?」「青酸カリって舐めても大丈夫?」など、気になる毒の雑学とともに紹介します。

また、毒を持つハチ、カエル、クラゲなどの生き物やスイセン、アジサイ、トリカブト、カエンタケなどの植物やキノコ、アスベスト、ダイオキシン、火山ガスなど環境系の毒、
依存度が高いコカイン、危険ドラック、覚せい剤などの麻薬……etc.
人体に影響を及ぼすあらゆる毒を収録!
誰かに教えたくなる毒の最新知識や雑学が詰まった一冊です。

  • この記事を共有する!