5:心が不安定な場面|家族の後ろをつきまとうとき
○エピソード
日中母は、家の中をずっとうろうろしています。何をしたいのか、目的はわかりませんが、私を見つけるとずっと後ろをついてきます。
【対応1】不安からか、依存からか、その他の行動をしたいからかを観察する
みなさんは、初めていった場所や初めて経験する場面で、「どうしたらいいのだろう?」という焦りや不安を感じたことはないでしょうか?そんなとき、安心するためにまずは他の人の様子を見ておきたいと感じませんか?
認知症のある人は、「何をしたらいいのかわからない」という事がよくあります。そのため、「そんな不安を訴えられる人」、自分の疑問の応えてくれそうな「頼りになる人」、自分のこの先の行動の基準となりそうな「モデルになる人」、「一緒にいて居心地がよく、安心できる人」を探す傾向があります。
つきまとうのはそうした人に依存したい気持ちがあるからかもしれません。また、トイレに行きたいのかもしれません。うろうろする理由を探りましょう。
【対応2】「落ち着かない?じゃあ次は○○しようか」
観察しても不安の原因や行動の目的がわからないときは、不安を肯定し、ねぎらい、一緒にやってもらえそうな家事などを提案して次の行動の基準を示しましょう
また、自分のまねをしてもらって、安心してもらってもっよいでしょう。本人がまねしやすく安心できる行動を知っておくとよいでしょう。
もしもあなたがこの世界にいたら?
初めての葬儀に参列し、御焼香の手順が全くわからないとき、あなたはどうしますか?前の人の背中で見えず、見えてもどうすればいいのかはっきりしない……そんなとき、誰かに「こうするといいよ」「一緒にやろう」と言われたら安心しませんか?
【出典】『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子
【書誌情報】
『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』
著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子
認知症は、理解しにくい言動を引き起こす脳の病気です。家族が「どう言葉をかけたらいいんだろう」「どう接したらいいのかな」「とてもつらい」と感じることが多いでしょう。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」では、介護現場の専門家が日々の接し方や対応のヒントを提供し、プロの視点と方法で、家庭での介護が少しでもラクになるように、ご本人とともにかけがえのない日々を過ごしてほしいという願いが込められています。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」を活用して、実践してほしいと思います。今後のためにも読んでおきたいおすすめの一冊です。
公開日:2024.07.22