気になる子を見つけたら、まずすることは?
【日頃の様子を観察する】
・どんな場面で、どんなことに困っているか?(逆に、どんなことはできるか?)
・興味・関心を持っているのはどんなことか?(逆に、嫌い・苦手なものは?)
・ほかの子どもとどのように関わっているか?(様子を見たり、気にかけたりしているか?)
【原因・背景を考える】
その子に合った対応を検討する。
その子をよく観察することからスタート
「いつもあの子はこうだから」「○○をするのは××だからに決まっている」と保育者の中で気になる子のイメージが固まり、そこから抜け出せなくなってしまうことがあります。しかし、同じように見える行動でも、子どもによって原因や背景が異なることは少なくありません。
思い込みだけで対応を検討してもうまくいかないので、目の前にいる子どもの様子をしっかりと観察する姿勢が大切です。
子どもを観察する際は、どんな場面で何に困っているか、どんなことに興味や関心を抱いているかを、具体的に把握できるといいでしょう。ほかの子どもとの関りも重要なポイントの一つです。
みんなと遊んでいなくても周囲の子をじっと見ていたり、後からおともだちのまねをしたりしていることがあり、意外なかたちで影響を受けているケースも。こうした情報をもとに検討重ねることで、その子にぴったりの個別性ある対応に結び付きます。
「好きなこと調査」に挑戦してみよう
気になる子に対して、周囲を困らせるような言動ばかりに注目してしまってはいませんか。大人が視点を変えて、「この子は何が好きなんだろう?」と探ることが、よりよい対応を考えるヒントになることもあります。
特に、気になる子は、大人へのアピールがうまくない場合も少なくありません。だからこそ、保育者から話したり関わったりする機会を積極的につくりたいもの。子供に対して、「あなたに興味があるよ」「仲良くなりたいな」と伝えることにもなります。
そこでおすすめしたいのが、子どもに対する「好きなこと調査」です。その子の興味・関心の対象を知るために、下のような質問をしてみましょう。
1.好きな食べ物、嫌いな食べ物は?
2.何色が好き?
3.今、欲しいものはある?
4.仲良しの/大好きなおともだちは?
5.家族でお出かけして楽しかった場所は?
6.園の中で好きな/安心できる場所は?
7.園で何をしている時が楽しい?
8.いつか行ってみたい場所はある?
9.よく見るテレビ番組はある?
相手を深く知れるだけでなく、ポジティブで楽しい話題を通して話しやすい雰囲気をつくったり、信頼関係を築いたりすることにもつながっていくはずです。
記録に残すことを忘れずに!
せっかく子どもの変化に気付いたり、いい情報が入手できたりしても、自分の心にとどめておくだけでは意義が半減してしまいます。大切な情報を忘れないためにも、ほかの保育者と共有したり経過を振り返ったりするためにも、記録を取ることを習慣付けましょう。
保護者と共有すべき内容については、ぜひ園の連絡帳に記入を。保育者同士で確認したい内容は、個別にノートや記入シートなどを用意するのも一案です。こうした情報がまとまっていれば、専門家による巡回相談を受けたり、小学校などと連携したりするときにも役立つはずです。
【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史
【書籍情報】
『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』
著:湯汲英史
幼稚園や保育園で言葉や行動や少し「気になる子」はいませんか?落ち着きがない、ずっとボーっとしている、「わからない」が多く、会話が成り立たない、すぐウソをつく、他の子や保育者をベタベタ触る……など。そのような気になる行動や言葉を発する子どもたちのサポート法を多数の声かけ例とともに丁寧に解説。また、「気になる子」の周りの子どもたちにも焦点をあて、周りの子どもたちや親御さんへのフォローや対応策のほかにクラス全体が過ごしやすくなる環境づくりのアイデアを提案します。そのほか、園でのスムーズな連携の仕方や有効的な記録の取り方など、今すぐ実践したい保育で役立つ情報を豊富に収録。保育学生さんや新米保育士さんだけでなく、改めて「気になる子」のサポートについて考えたいベテラン保育士さんなど多くの方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。
公開日:2024.06.05
