LOVE SPORTS

  • HOME
  • SPORTS LAB
  • 高島誠が教える誰にでもできる俊足・強肩を獲得する方法とは!?【革新的守備・走塁パフォーマンス】

高島誠が教える誰にでもできる俊足・強肩を獲得する方法とは!?【革新的守備・走塁パフォーマンス】

Text:高島誠

「俊足」「強肩」は獲得することができる

野球は“一瞬”のうちに勝負が決まる競技です。特にわかりやすいのが投手対打者で、例えば140km/hのボールが投じられてからキャッチャーミットに入るまでは0・44秒。この間に打者は、打つか、打たないかの判断を下し、打つにはボールにバットを当てて弾き返さなければならないのです。

野球で「タイム(時間)」の重要性を物語るシーンとして、プロ野球の試合中、監督やコーチがストップウォッチで何やら計測している姿を見たことがある人も多いと思います。投手がクイックで投げる際の時間や、牽制スピード、走者が一塁を駆け抜けるまでのタイム、守備で二盗を試みられた際に投手が投げてから一塁走者にタッチするまでどれくらいの時間がかかったかなどを測っています。それらのプレーがどれくらいの速さで行われているかがわかれば、作戦を仕掛けたときの成否が見えてくるからです。

「革新的」シリーズの4作目となる本書は、「守備・走塁」に特化しています。ピッチングやバッティングに比べて、守備や走塁には地味なイメージがあるかもしれません。中学や高校の強豪チームでは守備や走塁を大切にしているところも多いですが、それは「ミスなくプレーする」「相手のスキを突く」といった“細部”を突き詰めようという姿勢だと思います。言い換えれば、「状況判断」をしっかり行おうということになるでしょうか。

もちろん、状況判断は大事です。無死一、二塁で弱いセカンドゴロが飛んできた場合、どこに投げるべきか。無死二塁で強いゴロがセカンドに飛んだ場合、セカンド走者はサードに進むべきか。状況判断を適切に行うことが、望ましい結果につながっていきます。

同時に、状況判断の前にもっと大事なことがあります。守備であれば肩の強さを身につけ、走塁では速く走れるようになることです。「俊足」や「強肩」は天性の才能だと考えられがちで、後天的に磨こうとして取り組んでいるチームは決して多くありません。でも、それは誤解です。間違いなく言えるのは、「俊足や強肩は獲得できる」ということです。そのために大切になるのが、「0・1秒」へのこだわりです。

例えば、守備でよく言われるのが「両手で捕りなさい」ということです。両手で捕るためにはゴロの正面に入り、グローブの近くに右手を添えておく必要があります(右投げの選手の場合)。確かに正確なプレーをできるかもしれませんが、片手で捕る場合と比べて守備範囲はどうなるでしょうか。シングルキャッチや逆シングルも使いこなしたほうが、打球に追いつける範囲は広くなります。

捕球のバリエーションをうまく使いこないしているのが、埼玉西武ライオンズの源田壮亮選手です。「日本で最もうまいショート」と定評があるように、三遊間のゴロを正面ではなくあえて逆シングルで捕り、素早い送球につなげるプレーをよく見ます。逆シングルで捕ればそのまま送球体勢に入れるため、キャッチングからスローイングまでスムーズに動けるからです。日本のプロ野球では三遊間深くのゴロでも正面に回り込んで捕球しようとするショートが少なくないなか、源田選手はさまざまな捕球方法を使いこなして「名手」と言われています。

野球でショートは「花形」とされるポジションです。これまで何人かの日本人遊撃手がメジャーリーグに挑戦してきましたが、残念ながら高い壁に跳ね返されてきました。その要因として指摘されたのが、「肩の強さではアメリカ人や中南米の選手に勝てない」ということです。

 

ところが、韓国人のキム・ハソン選手が2022年、サンディエゴ・パドレスでショートの定位置をつかみました。もともと肩の強さを備えていた一方、アメリカに行ってからハンドリングやステップを見直したそうです。そうしてメジャーでもトップレベルの守備力を誇る内野手と評価されるまでになりました。

韓国人の内野手が活躍できるなら、日本人も同様にプレーできると私は考えています。なぜなら肩の強さや守備範囲の広さは、後天的に伸ばしていくことができるからです。そのために取り組んでほしいのが、ウエイトトレーニングで筋量を増やし、瞬発系のトレーニングを行って筋出力を上げることです。私がトレーニングを担当する広島県の武田高校ではこうした観点を持って継続的に取り組み、選手たちは総じて伸びています。なかでも昨年育成ドラフト4位でソフトバンクに入団した内野海斗投手は、プルダウン(助走をつけて全力で投げること)の球速が入学時に142km/hだったのが、3年時には166km/hまでアップしました。こうした成長をしたからこそプロの目に留まったわけです。

内野手で肩が強ければ、ゴロをポロッと前に落としても一塁に送球してアウトにすることができます。逆に肩が弱いと、一塁で打者走者をアウトにするためには前めに守備位置をとらざるを得ない。それでは強い打球が来た際、対応できずに内野の間を抜かれてヒットにされてしまいます。肩の強さは守備位置にも関わってくるので、内野手としてアウトの数を増やしていくためにも極めて重要です。特に併殺プレーを完成させるには、肩の強さは不可欠です。

守備でよく指摘されるのが、「一歩目」の重要性です。確かに大事なことで、一歩目を速くすることで追いつける打球もあるでしょう。肩が弱い選手の場合、ポロッと前に落とすと一塁に送球してもアウトにできないので、なおのこと「一歩目」が大切になります。

では、「一歩目」を速くする練習をしているでしょうか。多くのチームの場合、ランニング系では中距離を走るメニューが多く組まれています。なかには「この1周を何秒以内で走らないと、やり直し」と言われ、結果的に「最後の一歩」をいかに速く出せるかという目的になっているケースも珍しくありません。

でも、大事なのは「最初の一歩」です。それにはトレーニングで瞬発力を高めて「一歩目」を速くすることに加え、得意な足をうまく使うこともポイントです。それが「0・1秒」の短縮につながり、守備では追いつけるかどうか、走塁ではセーフかアウトかという“きわどいプレー”を成功させることに関わってくるのです。

足の速さをアップさせる上で意識してほしいのが、野球という競技の特性です。陸上のように、野球では50mを直線で走ることはありません。大事なのは10mや、塁間(27・431m)をいかに速く走れるかです。そうした点に特化したトレーニングが必要なので、本書では意識すべき点やドリルを紹介しています。

元シアトル・マリナーズのイチロー選手や福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手のように、スピードや肩の強さを備えた選手はすごく魅力的で、チームでも重宝されます。そうした「足の速さ」や「肩の強さ」は先天的な能力だと考えられがちですが、誰でも伸ばすことは可能です。足の速さや肩の強さをアップさせていくことでギリギリのプレーを成功させられ、「球際に強い」「勝負強い」と言われる選手になることができるのです。

ある意味ではピッチングやバッティング以上に、守備・走塁は「努力が報われやすい」分野だと思います。「0・1秒」の短縮は、誰にでもできるからです。だからこそ細かい点まで突き詰め、大きな差を生み出せる選手になっていきましょう。

プレー時間の差による走者の移動距離

プレー時間の差による走者の移動距離『革新的守備・走塁パフォーマンス』

表1は0.1~2.0秒の間に、走者がどれだけ移動できるかを10mのタイム別に表したものです。たとえば10mを1.5秒で走る走者が10mに到達したとき、10mを2.0秒かかる走者はまだ7.5m地点にいることになります。走者であれば0.1秒タイムを縮めるだけで、それまでギリギリでアウトになっていた打球がセーフになる可能性が高まることがわかるはずです。逆に内野手であれば打球が飛んできてからのスタート→捕球→スローイングのタイムを0.1秒縮めるだけで、走者をアウトにできる確率がぐんと上がります。

※ランナーの加速、減速は考慮していない参考数値

球速によるプレー時間の差

球速によるプレー時間の差『革新的守備・走塁パフォーマンス』

野手にとっても球速は重要な要素です。表にあるように球速が10km/h上がるだけでも送球に費やすタイムが大幅に短縮されます。たとえば球速120km/hの野手は塁間送球に0.82秒かかりますが、130km/hであれば0.76秒。わずか0.06秒の差と思うかもしれませんが、これがギリギリのプレーの際に大きく影響するのです。

※初速~終速差を考慮していない参考数値

野手に必要な移動距離のイメージ

野手に必要な移動距離のイメージ『革新的守備・走塁パフォーマンス』

ポジションによって必要な移動距離は変わってきますが、図を見てもわかるように野球において必要なのは内野手なら10~15m、外野手なら30m程度の距離をいかに速く移動できるか。50m走のタイムがスピードの指標に用いられることがありますが、試合中に50mの直線をダッシュするケースはほとんどありません。

※移動距離はあくまでもイメージ。ポジショニングや試合状況、打球方向、打球速度によって必要な移動距離は変化します。

野手に必要な送球距離のイメージ

野手に必要な送球距離のイメージ『革新的守備・走塁パフォーマンス』

移動距離と同様、必要な送球距離もポジションによって異なります。外野手のほうが必要な送球距離は伸びますが、内野手も30m以上の送球を強く投げられることが求められます。また、併殺や中継プレーの際には二人以上の野手が送球を行うことになるため、誰かひとりでも肩の弱い選手がいると、走者をアウトにできる確率は下がります。

※送球距離はあくまでもイメージ。ポジショニングや試合状況、捕球位置によって必要な送球距離は変化します。

出典:『革新的守備・走塁パフォーマンス』高島誠

『革新的守備・走塁パフォーマンス』はこんな人におすすめ!

・実際にプロで活躍している選手が取り入れている理論を知りたい
・守備・走塁を強化したい!
・具体的な練習方法を子どもに教えたい!

と感じている方には大変おすすめな本です。

1歩=0.1秒にこだわれば、俊足、強肩は、獲得できる、体格に劣る選手でも練習の質や技術を高めることで、プロと同等の水準を発揮しやすいと言えます。本書では、どのような意識で、どうやったら守備や盗塁の成功率を高めることが出来るか、肩を強くすることが出来るのか?実際にプロ野球選手と共に自主トレを行っている高島氏のメソッドを紹介すると共に、効果的な練習法を提案します。わずか一歩を短縮することで0.1秒を作り出すために何をしなければならないのか?それが革新的なパフォーマンスにつながります。

プロでも使われる技術を、高校生でも実践できるようオールカラーでわかりやすく解説!

普通の高校生でも140km/hを投げれるようになる、柵越えを連発できるようになる技術は、確かに実践可能ですが、ある程度の練習と時間を有します。技術と共に体を鍛えなければいけないからです。しかし守備と走塁に関しては、そこまで体格差は問題ありません。いかに一歩を早く踏み出すか、それにより0.1秒をどう短縮するか、その理論と実践メソッドを徹底解説します。

スクワット

気になる中身を少しだけご紹介!グローブはどう選ぶ?

近年のトレンドは操作性の高い“コユニ”

野手にとって“相棒”とも言えるグローブを選ぶ際、どういう基準で決めていますか?憧れの選手が使っているとか、好きなメーカーだからなど、見た目を優先している人も少なくないかもしれません。もちろんカッコいいにこしたことはないと思いますが、最も重要なのは捕りやすさです。そこでまず考えてほしいのが、どんなグローブを使えば守備範囲が広くなりやすいかということです。まず、ゴロをさばく体勢は「正面で捕る」と「片手で捕る」の2パターンに大きく分けられます。本書では「正面で捕る」ことにこだわる必要はないとしていますが、主な理由は以下になります。

①パフォーマンスラインで左足が使いやすい場合、ゴロの正面に入るより、体の左側で捕球するほうが動きやすいという人もいる
②両手で捕る(正面で捕る)より、片手で捕る(シングルキャッチ&逆シングル)ほうが、守備範囲が広くなる
③正面に入っての“当て捕り”では、強い打球には対応しにくい

守備で大切なのは、いかにアウトの数を増やしていけるかです。それにはプレーの正確性や素早さ、そして守備範囲の広さが関わってきます。③で挙げた“当て捕り”は、素早いプレーにはつながるでしょう。グローブで捕球するのではなく、文字どおりグローブの土手でゴロをあてるようにして止めて、添えている手で素早く握り変えて送球できることがメリットです。ただし、“当て捕り”は両手で捕る(正面で捕る)ことを前提としているので、守備範囲が限られます。強いゴロが飛んできた場合、グローブの土手に当てても打球の勢いに負けて大きく弾いてしまうこともあるでしょう。対してシングルキャッチや逆シングルは、正面に入っての捕球より守備範囲が広くなり、強い打球にも負けずにキャッチできます。練習していけば、正面で捕るのと同じくらい捕球の精度も高められるはずです。メジャーリーガーの多くがシングルキャッチと両手での捕球を状況によって使い分けていることを考えると、必ずしも「正面で捕る」必要はないのです。シングルキャッチの確率を高めていく上で重要になるのが、どんな形状のグローブを選ぶかです。一般的にグローブは「縦型」と「横型」に分けられますが、私はもっと細かく分類する必要があると考えています。例えば野手の場合、グローブのポケットが深いとシングルキャッチをしやすく、そうした形状のものを「縦横型」と呼んでいます。

一方、“当て捕り”用は「縦型」で、ポケットが浅いです。そもそも土手で当てて止めることを目的につくられているので、ポケットが深くある必要はないのでしょう。本書で述べてきたように私はシングルキャッチもできることを推奨していますが、そうした捕球をする上で、近年プロ野球の名手たちの間で流行し始めているのが、“コユニ”という仕様のグローブです。文字どおり、グローブの小指を指す箇所に薬指と小指の2本を入れて、中指と人差し指はそれぞれ1本ずつ横にずらし、人差し指の箇所を開けて装着します。詳しくは66ページから説明していますが、人間の身体の構造上、薬指を中心に回転させたほうが手の操作性を高めやすくなるのです。加えて“コユニ”にするとグリップの力が上がりやすいので、強い打球にも負けずに捕球しやすくなります。そうして上手くキャッチできれば、スムーズな送球にもつなげやすいはずです。

グローブ

“打球は変化する”ことを理解しよう「ボールのどこを打つかで打球にかかる回転は変わる」

プロ野球選手の一流打者は、打ちたい打球をイメージしてボールとコンタクトする場所を狙い分けると言います。細かく分けると、ボールは上、下、外、内、前、後ろを打つことができます。同じ軌道のスイングでも、どの場所を打つかによって打球にかかる回転が変わります。だから、ボールの打つ場所を狙い分けるというのです。学生野球でそこまで狙える選手は珍しいでしょうが、さまざまな打球が飛んでくることは変わりません。

逆に言えば、規則的な回転の打球が飛んでくるとは限らないのです。ゴロがイレギュラーにバウンドするのはグラウンドの凹凸などに要因がある場合もあれば、そもそも打球の回転により、地面と接地した際に不規則な方向に弾んでいくことも考えられるわけです。イレギュラーバウンドのゴロに対応するためには、まずはそう知っておくことです。その上で、スピンアクシスボールでノックを受けてみてください。バットの入射角や、スイングの軌道、ボールを打つ場所により、打球にかかる回転の違いを視覚的に捉えることができます。そうしたイメージを持っておくだけでも、実戦での対応が変わってくるはずです。

ゴロの転がり

★基本の構え・守備とは
★キャッチャーミットの動かし方とは?
★走塁時のスタート足について
★俊足になるための詳しいトレーニング法とは

などなど気になるタイトルが目白押し!

著者の高島氏の元には今なお、シーズンオフの自主トレで球団の垣根を越えて、プロの野球選手が集まってきます。長くプロ野球選手を続けるために、自分に必要な技術を高めるため、高島氏の始動を求めて来るのです。本書はそこで教えるメソッドを具体的な練習方法と共に紹介しているので、あなたも「俊足」「強肩」を獲得できるようになります!

『革新的守備・走塁パフォーマンス』
著者:高島誠

多くのプロ野球選手を育成し、プロ野球選手のサポートをするトレーナーな高島誠氏による「革新的パフォーマンス」シリーズ第4弾!1歩=0.1秒にこだわれば、俊足、強肩は、獲得できる、体格に劣る選手でも練習の質や技術を高めることで、プロと同等の水準を発揮しやすいと言えます。本書『革新的守備・走塁パフォーマンス』では、どのような意識で、どうやったら守備や盗塁の成功率を高めることが出来るか、肩を強くすることが出来るのか?実際にプロ野球選手と共に自主トレを行っている高島氏のメソッドを紹介すると共に、効果的な練習法を提案しています。わずか一歩を短縮することで0.1秒を作り出すために何をしなければならないのか?それが革新的なパフォーマンスにつながります。プロでも使われる技術を、高校生でも実践できるようオールカラーでわかりやすく解説。野球に携わるすべての人に読んで欲しい一冊です。

  • この記事を共有する!
芝山ゴルフ倶楽部 視察プレーのご案内