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「フレーミング」とは何かを高島誠が解説!プロ野球でも話題の捕球技術【革新的守備・走塁パフォーマンス】

Text:高島誠

フレーミングとは何か?

ストライクゾーンに来た球をストライクと判定してもらう捕球技術

近年、捕手の「フレーミング」というキャッチング技術がよく語られるようになりました。英語では「Framing」と表記され、「Frame(形づくる)」の現在分詞です。この言葉が示すように、ストライクとボールの境界線付近の球を「ストライク」と判定してもらえるような捕球技術と考えている人が多いのではないでしょうか。

じつは、フレーミングに明確な定義はありません。アメリカのメディアでも、「フレーミングとは何か」と議論されてきました。

プロ野球中継を見ていると、解説者が「ストライクでもボールでも、どっちでもいい球ですね」と言うことがあります。でも厳密に言えば、ストライクゾーンは公認野球規則で明確に定められています。「打者の肩の上部とユニホームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、ひざ頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間をいう。このストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである」

つまり、ストライクゾーンは打者の身長や構え方によっても変わります。それを踏まえた上で、“枠”の中に入ったか否かを球審が判定します。

球審の立場からすると、ストライクゾーンは決められている一方、“きわどいボール”は確かに存在します。そう考えると、フレーミングとは「ストライクゾーンに来た球を確実にストライクと判定してもらう捕球技術」だと私は考えています。

ただし、ストライクゾーンには誰にもわかるような“線”が描かれているわけではありません。プロ野球では145km/h以上の球が頻繁に投じられ、アンパイアは瞬時の判定を求められます。果たしてストライクか、ボールか、見極めるのは容易なことではありません。

英語では「ボーダーライン」という表現が使われますが、捕手によって“きわどい”ボールをストライクと判定してもらえるかどうか、違いが結構あることがわかっています。

2022年メジャーリーグにおける捕手別ストライク率(低めのボールゾーンの場合)

2022年メジャーリーグにおける捕手別ストライク率『革新的守備・走塁パフォーマンス』

メジャーリーグが運営するデータサイト「ベースボール・サーバント」では、ストライクゾーン周辺のボールゾーンをどれくらい「ストライク」と判定されたかというデータが公表されています。低めのボールゾーン(ストライクゾーンを9分割し、内角低め、真ん中低め、外角低めの下のゾーン。同サイトでは「Zone18」に該当)は球審にとって判定が難しいコースですが、各捕手によって「ストライク」とコールされた確率はかなり異なっています。2022年のデータを見ると、トップはオースティン・バーンズ選手(ロサンゼルス・ドジャース)で67.1%、2位はホセ・トレビーノ選手(ニューヨーク・ヤンキース)で62.3%。下位は60位のサルバドール・ペレス選手(カンザスシティ・ロイヤルズ)で36.9%。

変化球の軌道を想像してもらうと、低めのボールゾーンは特に捕球技術を求められることがわかると思います。例えばフォークもスライダーも、低めに落ちていくような軌道を描きます。これらを下から上に拾い上げるように捕球するのか、上から下にかぶせるように捕るのか。後者の場合、もし低めのストライクゾーンに来ても、球審には「ボール」に見えてしまうかもしれません。逆に拾い上げるように低めのボールゾーンの球を捕れば、「ストライク」と判定されることもあります。捕手がミットをどのように使うかは、球審が判定する上で大きな影響を及ぼしているわけです。

ちなみに、捕球した後にミットを動かすのはNGです。球審を欺く行為と受け止められるリスクがあり、もしストライクゾーンに来ていても「ボール」と判定される可能性が少なくないでしょう。フレーミングとは、あくまで一連の動作の中で行う捕球技術です。変化球の軌道を思い描き、終着点の少し外からミットを内側のストライクゾーンに動かしながら捕球するという技術です。一連の捕球動作なので、球審を欺いているわけではありません。

ちなみに前述したバーンズ選手はフレーミングに定評があり、2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にメキシコ代表として出場しました。一方、ペレス選手は2021年のア・リーグ本塁打王です。

捕手には「リード」「肩の強さ」「ブロッキング」「打撃」など評価軸がいくつかあるなか、近年は「フレーミング」もその一つと見られるようになりました。際どいボールをストライクと判定されるか、ボールとなるかは試合の行方を左右しかねないもので、フレーミングは捕手にとって重要な技術と考えられているのです。

フレーミング実例

フレーミング実例『革新的守備・走塁パフォーマンス』

【OK】ボールの終着点にミットが先回りし一連の捕球動作の中でミットをストライクゾーンに動かす。

【NG】ボールの終着点に対してミットが「追いかける」形になり、捕球後もミットが流れてしまう。

出典:『革新的守備・走塁パフォーマンス』高島誠

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プロでも使われる技術を、高校生でも実践できるようオールカラーでわかりやすく解説!

普通の高校生でも140km/hを投げれるようになる、柵越えを連発できるようになる技術は、確かに実践可能ですが、ある程度の練習と時間を有します。技術と共に体を鍛えなければいけないからです。しかし守備と走塁に関しては、そこまで体格差は問題ありません。いかに一歩を早く踏み出すか、それにより0.1秒をどう短縮するか、その理論と実践メソッドを徹底解説します。

スクワット

気になる中身を少しだけご紹介!グローブはどう選ぶ?

近年のトレンドは操作性の高い“コユニ”

野手にとって“相棒”とも言えるグローブを選ぶ際、どういう基準で決めていますか?憧れの選手が使っているとか、好きなメーカーだからなど、見た目を優先している人も少なくないかもしれません。もちろんカッコいいにこしたことはないと思いますが、最も重要なのは捕りやすさです。そこでまず考えてほしいのが、どんなグローブを使えば守備範囲が広くなりやすいかということです。まず、ゴロをさばく体勢は「正面で捕る」と「片手で捕る」の2パターンに大きく分けられます。本書では「正面で捕る」ことにこだわる必要はないとしていますが、主な理由は以下になります。

①パフォーマンスラインで左足が使いやすい場合、ゴロの正面に入るより、体の左側で捕球するほうが動きやすいという人もいる
②両手で捕る(正面で捕る)より、片手で捕る(シングルキャッチ&逆シングル)ほうが、守備範囲が広くなる
③正面に入っての“当て捕り”では、強い打球には対応しにくい

守備で大切なのは、いかにアウトの数を増やしていけるかです。それにはプレーの正確性や素早さ、そして守備範囲の広さが関わってきます。③で挙げた“当て捕り”は、素早いプレーにはつながるでしょう。グローブで捕球するのではなく、文字どおりグローブの土手でゴロをあてるようにして止めて、添えている手で素早く握り変えて送球できることがメリットです。ただし、“当て捕り”は両手で捕る(正面で捕る)ことを前提としているので、守備範囲が限られます。強いゴロが飛んできた場合、グローブの土手に当てても打球の勢いに負けて大きく弾いてしまうこともあるでしょう。対してシングルキャッチや逆シングルは、正面に入っての捕球より守備範囲が広くなり、強い打球にも負けずにキャッチできます。練習していけば、正面で捕るのと同じくらい捕球の精度も高められるはずです。メジャーリーガーの多くがシングルキャッチと両手での捕球を状況によって使い分けていることを考えると、必ずしも「正面で捕る」必要はないのです。シングルキャッチの確率を高めていく上で重要になるのが、どんな形状のグローブを選ぶかです。一般的にグローブは「縦型」と「横型」に分けられますが、私はもっと細かく分類する必要があると考えています。例えば野手の場合、グローブのポケットが深いとシングルキャッチをしやすく、そうした形状のものを「縦横型」と呼んでいます。

一方、“当て捕り”用は「縦型」で、ポケットが浅いです。そもそも土手で当てて止めることを目的につくられているので、ポケットが深くある必要はないのでしょう。本書で述べてきたように私はシングルキャッチもできることを推奨していますが、そうした捕球をする上で、近年プロ野球の名手たちの間で流行し始めているのが、“コユニ”という仕様のグローブです。文字どおり、グローブの小指を指す箇所に薬指と小指の2本を入れて、中指と人差し指はそれぞれ1本ずつ横にずらし、人差し指の箇所を開けて装着します。詳しくは66ページから説明していますが、人間の身体の構造上、薬指を中心に回転させたほうが手の操作性を高めやすくなるのです。加えて“コユニ”にするとグリップの力が上がりやすいので、強い打球にも負けずに捕球しやすくなります。そうして上手くキャッチできれば、スムーズな送球にもつなげやすいはずです。

グローブ

“打球は変化する”ことを理解しよう「ボールのどこを打つかで打球にかかる回転は変わる」

プロ野球選手の一流打者は、打ちたい打球をイメージしてボールとコンタクトする場所を狙い分けると言います。細かく分けると、ボールは上、下、外、内、前、後ろを打つことができます。同じ軌道のスイングでも、どの場所を打つかによって打球にかかる回転が変わります。だから、ボールの打つ場所を狙い分けるというのです。学生野球でそこまで狙える選手は珍しいでしょうが、さまざまな打球が飛んでくることは変わりません。

逆に言えば、規則的な回転の打球が飛んでくるとは限らないのです。ゴロがイレギュラーにバウンドするのはグラウンドの凹凸などに要因がある場合もあれば、そもそも打球の回転により、地面と接地した際に不規則な方向に弾んでいくことも考えられるわけです。イレギュラーバウンドのゴロに対応するためには、まずはそう知っておくことです。その上で、スピンアクシスボールでノックを受けてみてください。バットの入射角や、スイングの軌道、ボールを打つ場所により、打球にかかる回転の違いを視覚的に捉えることができます。そうしたイメージを持っておくだけでも、実戦での対応が変わってくるはずです。

ゴロの転がり

★基本の構え・守備とは
★キャッチャーミットの動かし方とは?
★走塁時のスタート足について
★俊足になるための詳しいトレーニング法とは

などなど気になるタイトルが目白押し!

著者の高島氏の元には今なお、シーズンオフの自主トレで球団の垣根を越えて、プロの野球選手が集まってきます。長くプロ野球選手を続けるために、自分に必要な技術を高めるため、高島氏の始動を求めて来るのです。本書はそこで教えるメソッドを具体的な練習方法と共に紹介しているので、あなたも「俊足」「強肩」を獲得できるようになります!

『革新的守備・走塁パフォーマンス』
著者:高島誠

多くのプロ野球選手を育成し、プロ野球選手のサポートをするトレーナーな高島誠氏による「革新的パフォーマンス」シリーズ第4弾!1歩=0.1秒にこだわれば、俊足、強肩は、獲得できる、体格に劣る選手でも練習の質や技術を高めることで、プロと同等の水準を発揮しやすいと言えます。本書『革新的守備・走塁パフォーマンス』では、どのような意識で、どうやったら守備や盗塁の成功率を高めることが出来るか、肩を強くすることが出来るのか?実際にプロ野球選手と共に自主トレを行っている高島氏のメソッドを紹介すると共に、効果的な練習法を提案しています。わずか一歩を短縮することで0.1秒を作り出すために何をしなければならないのか?それが革新的なパフォーマンスにつながります。プロでも使われる技術を、高校生でも実践できるようオールカラーでわかりやすく解説。野球に携わるすべての人に読んで欲しい一冊です。

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