読む人に好まれるキャラクターの特徴
読者が好きなキャラクターは、憧れだけではなく、特異点や短所を持った、 自分が共感できる存在です。
長所と欠点で深みある魅力づくり
マンガをはじめて描く際、登場人物、特に主人公にはついつい完璧なヒーロー像を求めてしまいがちです。誰もが憧れ、損得を気にせず誰かのために動き、誰よりも強くみんなに愛される主人公。しかし、そのようなキャラクターでは、何より大切な「読者」から愛されにくくなってしまいます。
弱点も失敗もないキャラクターには、読者は心配も共感もすることがなく、ハラハラ、ドキドキのしようもありません。欠点のない性格設定は、読者の注目を散漫にしてしまうのです。では、愛されるキャラクターをつくるにはどうすればいいのか。そのひとつの答えはキャラクターに長所だけではなく「魅力ある欠点」を設定することです。
欠点で共感しやすくなる
あこがれる長所
愛されるキャラクターには、愛されるだけのわかりやすいポイント=「長所」を明確に設定することが必要。
+
共感を呼ぶ欠点
完璧すぎるキャラクターには感情移入がしにくく、共感できない。欠点を設定することで読者に寄り添える。
=魅力的なキャラクター
長所・欠点を活かせるキャラクター例
ヒーローだけど1分間しか戦えない。とても元気だけどすごいドジ。人のために普段は働いているけれど、実は人に言えない悪い趣味がある。カッコいいけど、変人で恋人ができない――。
長所に制約をつけ、魅力ある欠点を付随することで、キャラクターを目立たせ、物語を盛り上げることができるのです。
また、人は基本的に自分の欠点がよくわからないもの。ただ、読者は欠点に振り回され、苦悩し、ときに克服のために奮闘するキャラクターにいつの間にか自分を重ねて共感し、応援し、惹き込まれるようになります。
どうしてもはじめのうちは完璧でカッコいい人物像ばかり考えてしまいがちですが、逆に欠点が目立つようなキャラクターでも大丈夫です。長所と裏腹の欠点を、ストーリーのなかでどう成長させるかが大事なのです。
キャラクターは完璧ではないからこそ、ヒロイックな存在に成長できるのです。
欠点設定のポイント
・あくまで魅力を引き立てるためのスパイスのため、重くしすぎない。
・長所と関連性を持たせるとキャラクターの一貫性が上がる。
・わかりやすい欠点にする。読者が理解しづらいものにしない。
【出典】『テクニックでセンスを超える! プロが教えるマンガネーム』著:佐藤ヒロシ
【書籍情報】
『テクニックでセンスを超える!プロが教えるマンガネーム』
著:佐藤ヒロシ
マンガを描く上で、アイデアやイメージを形にするのは難しく、面白さを伝えるためにはネームが必要です。ネームは、コマ割りや構図、キャラクターの配置などを具体的に示す設計図であり、作品の完成度を高めるために何度も修正を繰り返します。本書では、ネームの作り方と素晴らしい作品になるためのポイントを解説し、実際のネーム添削も紹介。ネームを描くことが、面白いマンガを作成する第一歩です。マンガネームの書き方に悩んでいる方にぜひ読んでいただきたいおすすめの一冊です。
公開日:2024.06.18