キャラクターの人物像を深堀りする
魅力的なキャラクターを生み出すためには、 人物像の深堀りが大事です。効率的な方法を見てみましょう。
キャラクターの魅力を引き出す深掘り
魅力的なキャラクターをつくるには、その人物像を深堀りしていくのが重要です。普段どのように考え、何があってそう考えるようになったのか。どうしてそのように過ごしているのか。過去の出来事や環境からキャラクターというひとりの「人物」の分析を進めて、マンガの演出に加えるのです。
ただし、登場するキャラの全てを考察するのは、かなり大変な作業です。そこで、効果的、効率的なキャラクターの深堀り方法を考えてみましょう。
深掘りの意義
マンガのキャラクターは現実の人間と同じく、ストーリーがはじまる前の経験で性格がつくられ、ストーリーのなかで自ら考え動き、その先の未来を見据えてアクションを起こしていく。キャラクターがどのような人物なのかを、深掘りしておくことでタイムラインに一貫性が生まれる。
深掘りする方法の 5 パターン
深掘りする方法の1つ目はキャラクターのモデルとなった人や物事に関して、詳しい人から話を聞く方法です。現実にある・いるものを真似ることで、キャラクターにリアリティを与えることができます。
2つ目に挙げられるのは、キャラクターに一貫性のある信念をつくり、それにより生まれる自己矛盾も一緒に持たせることです。自分の理想と、現実との葛藤が魅力的な複雑さを与えてくれます。
3つ目の方法としては、これまでそのキャラクターがどのように生きてきたのか、バックストーリーを設定することが上げられます。
4つ目の方法は、キャラクターの心理を理解することです。トラウマや大切な思い出を設定し、外向型、内向型、積極型といったキャラクターのタイプをはっきりさせ、心理を理解しやすく見せるのです。
もうひとつ、やりやすい方法としては、自分の一部をキャラクターに投影する方法があります。自分と似たところがあるキャラクターの心理の変化や、行動の変化は考えを巡らせやすく、より人間らしく動いてくれることでしょう。
作者が人物の背景を把握しないと、キャラクターは薄っぺらなものになり、魅力的にはなりません。
①モデルから深掘りする
そのキャラクターのモデルとなった現実の存在や物事を調べ、キャラクターに反映する。
②信念を設定する
軸となるような信念(例.戦争反対)と、その信 念を阻む現 実とのギャップ(例.無くならない戦争)を描く。
③バックストーリーをつくる
これまでにそのキャラクターに何があったのか、ストーリーのなかで描かれない背景を含めて考える。
④タイプづけを行う
トラウマの設定や、内向型な思考など、読者が共感しやすいようにわかりやすいキャラのタイプづけを行う。
⑤自己を投影する
「自分だったらこう動く」で描写しやすいよう、自分の思考などを反映してキャラクターをつくる。
【出典】『テクニックでセンスを超える! プロが教えるマンガネーム』著:佐藤ヒロシ
【書籍情報】
『テクニックでセンスを超える!プロが教えるマンガネーム』
著:佐藤ヒロシ
マンガを描く上で、アイデアやイメージを形にするのは難しく、面白さを伝えるためにはネームが必要です。ネームは、コマ割りや構図、キャラクターの配置などを具体的に示す設計図であり、作品の完成度を高めるために何度も修正を繰り返します。本書では、ネームの作り方と素晴らしい作品になるためのポイントを解説し、実際のネーム添削も紹介。ネームを描くことが、面白いマンガを作成する第一歩です。マンガネームの書き方に悩んでいる方にぜひ読んでいただきたいおすすめの一冊です。
公開日:2024.06.20