読者が感情移入できるよう意識する
読者が主人公に自分のことのように「感情移入」できると作品に引き込まれ、面白さにつながっていきます。
キャラクターに感情移入してもらう方法
読者が主人公の心理や行動を、まるで自分のことのようについ重ね合わせてしまう———。そんな「感情移入」によって、読者の作品の世界に対する没入感は具っと上がります。主人公が問題を解決すると同じように達成感を感じ、つらい思いをすると、そのつらさを共感するのです。
キャラクターに感情移入しにくい状態
【その理由】
- 何をしたいのかがわからない
- そのキャラのことをよく知らない
- 完璧すぎて、もはや別の生き物だ
主人公に感情移入させるためには、読者を主人公と近い目線に立たせて、一緒にストーリーというジェットコースターへ乗せ、自分や親しい友人のことのように疑似体験させるわけです。
感情移入のさせ方
読者が感情移入をしやすくるす方法について、3つ例を挙げます。
①ゴールをはっきりさせる
主人公の日常が事件や非日常に巻き込まれ、そこから脱出するために行動する。
1つ目には、主人公の目的を早い段階で明確にする方法です。これにより、目指すべきゴールが主人公と読者の間で共有され、その道中も応援しやすくなります。
②身の上や心情をはっきりさせる
そのキャラクターがなぜ、いまその立場・考えに至ったのかをストーリーのなかで示し、読者に理解しやすくする。
2つ目は、主人公の身の上や行動の理由をストーリーのなかでわかりやすく説明する方法です。人間同士がそうであるように、マンガのキャラクターのことも、その理解することで親しみが増し、感情移入しやすくなります。
③キャラの欠点や短所を見せる
欠点や短所など、そのキャラが抱えている弱みを見せることで人間味が増し、身近に感じる。
3つ目に挙げるのは、主人公の弱点や欠点をあえて見せる方法です。抱えている弱さが見えることで人間味が増し、主人公を身近に感じやすくなります。
そうして主人公に感じた人間臭さや親近感から、読者が自分を重ねるようになれば、主人公の身に何かが起これば心配し、どんなことが起こるのかをハラハラしながら見守ることになるでしょう。これがいわゆるストーリーのコースターに乗せた状態です。
巧妙なストーリーをつくっても、コースターに乗せず、遠くから見ているような状態では感情移入もできず、本当の面白さにはつながりません。
【ストーリー中に仕掛けをつくる】
- バックストーリーをつくる
- 短所を克服しようと苦悩する姿を見せる など
➡キャラクターに感情移入ができるマンガに
注意点
- すべてのキャラクターに感情移入させる必要はない。主人公や主要人物など、重要なキャラクターとそうでないキャラクターの区別をしっかりとする。
- 悪役に感情移入させると、ストーリーが重厚になる代わりに読者の総低年齢層が上がるので、総低年齢層低めのマンガでは注意する。
【出典】『テクニックでセンスを超える! プロが教えるマンガネーム』著:佐藤ヒロシ
【書籍情報】
『テクニックでセンスを超える!プロが教えるマンガネーム』
著:佐藤ヒロシ
マンガを描く上で、アイデアやイメージを形にするのは難しく、面白さを伝えるためにはネームが必要です。ネームは、コマ割りや構図、キャラクターの配置などを具体的に示す設計図であり、作品の完成度を高めるために何度も修正を繰り返します。本書では、ネームの作り方と素晴らしい作品になるためのポイントを解説し、実際のネーム添削も紹介。ネームを描くことが、面白いマンガを作成する第一歩です。マンガネームの書き方に悩んでいる方にぜひ読んでいただきたいおすすめの一冊です。
公開日:2024.06.24