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不安障害の治療方法① 精神療法【心の不調がみるみるよくなる本】

Text:ゆうきゆう:監修

不安障害の治療方法① 精神療法

不安障害は、どのように治療することができるでしょうか。
まずは認知行動療法の観点から効果的な治療方法を見ていきましょう。

認知療法で「認知のクセ」や「別の可能性」に気づかせる

「認知行動療法」は、行動療法と認知療法を統合した精神療法のひとつです。多くの精神疾患に用いられており、広く有効性も認められている代表的な治療法です。

各患者の症状や担当の治療者によって具体的な治療方法は異なりますが、主に医師などの専門家と患者の対話によって進められます。

認知行動療法は、患者に生じている問題を具体的にし、考え方や行動などに働きかけて問題解決を目指す心理療法です。
例えば、かつて電車内でパニック発作を起こしたことがある人は、電車に乗ると「また発作が起きる」「今度は死んでしまう」などと予期不安が起こり、新たなパニック発作の引き金にもなります。

認知行動療法では、そうした患者の不安のもとである「考え方・とらえ方=認知」を修正することが第一の段階となります。

医師との対話や記述によって、患者は自分の認知と向き合い、「また発作が起きる」のは確実なのか、他の考え方はないのかなどと検証していきます。すると、最初の発作の原因(体調不良)やその結果(すぐにおさまる、死なない)などから、患者は自分の認知のクセやゆがみ、別のとらえ方などに気づくようになります。

不安の変化を行動で実感する曝露療法

代表的な行動療法のひとつに、曝露療法(エクスポージャー)があります。簡単にいえば、不安の原因になる刺激に段階的に触れることで、不安を消していく療法です。例えば、電車に乗らないという「回避行動」を取っている患者がいるとしたら、その患者は、まず1駅だけ、客の少ない時間に乗車してみます。患者は先に行った認知療法によって、「発作は起きないかもしれない」「死ぬことはないだろう」という考えに至ったとはいえ、不安がなくなったわけではないので、このようにあえて回避していた行動を少しずつ行って、大丈夫であることを確認していくのです。

その後、徐々に区間を長くしたあと、最終的にラッシュ時の電車など、目的とした状態での乗車まで訓練したり、多少混雑した時間も試したりします。これを段階的曝露と呼びます。計画や方法は医師と相談し、あくまでも治療として進めます。

この行動療法によって、患者は不安と現実との誤差を埋めていきます。「乗車して5分くらいは不安でたまらず発作が起きそうだった」「乗客が少なければ10分でも平気だった」「混雑したときはドアの近くに立つと安心した」というように、不安の実像や、その変化を具体的に体験することが重要です。乗車し終わった後の安心感や達成感も、回避していては得られないものです。

「認知療法」と「曝露療法」

不安や恐怖からくる否定的な思い込みを、より適切な考え方に修正していくのが「認知療法」です

❶自分の認知(思い込み)を確認する

a. 必ずパニック発作を起こす
b. 次に発作を起こしたら死ぬかもしれない
c. 発作を起こしたら変な人と思われる
d. 発作が起こっても誰も助けてくれない

❷自分の認知と向き合う

a. パニック発作が起こらない可能性もある
b. パニック発作で死ぬ人はいない
c. 体調がおかしいと思われる程度かも
d. 自分が周囲の人の立場なら助けるはず

❸適切な認知を引き出す

a. またパニック発作が起こるとは限らない
b. 発作は短時間で必ずおさまる
c. 周囲の人は体調が悪いと思うだけ
d. 発作が起きても誰かが助けてくれる

不安障害の人が苦手な状況にあえて身をさらして、少しずつ慣らして克服していく方法が「曝露療法」です

❶最終目標を設定する
自宅の最寄り駅から会社まで電車に乗っていく

❷目標の段階を細かく設定する
a まずは空いている時間に1駅分のる
b 次は空いている時間に2駅分のる


g 朝のラッシュ時に会社の最寄り駅まで乗る

❸目標を実践する
1 駅だけだけど混雑した電車に乗っても大丈夫だった

CHECK!

  • 精神療法としてもっとも広く行われているのが認知行動療法
  • 「認知のゆがみ」は自覚し、修正していくことはできる

 

【出典】『心の不調がみるみるよくなる本』ゆうきゆう:監修

【書誌情報】
『心の不調がみるみるよくなる本』
ゆうきゆう:監修


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現代増加の一途をたどる「不安障害」。
不安障害とは払拭できないほどの不安や恐怖の感情が過剰に付きまとい、日常生活に支障をきたすような状態になることです。
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