名義変更を行う
葬儀後の名義変更
名義変更には、葬儀後に行うものと遺産分割協議が確定してから行うもの(⇒P196)があります。
世帯主変更の手続きは、死後14日以内に行います。電気・ガス・水道などのライフラインや通信関係なども、早めに各営業所に申し出て名義変更、もしくは解約の手続きを行いましょう。
料金などを故人名義の口座から口座振替していた場合は、振替口座の変更手続きも同時にしておきます。死亡によって故人の口座が凍結されると、振替ができなくなるので注意しましょう。
預貯金、不動産、有価証券、自動車などの故人の財産(遺産)や住居の賃借権は相続財産であり、相続人全員の共有財産となります。そのため、これらの名義変更は、だれが相続するか決定した後で行います。
なお、電話加入権は相続財産ですが、妻や子などが承継することがほとんどで、必要杏類が用意できれば、すぐに名義変更ができるようになっています。
世帯主の変更
世帯主が亡くなったときは、死亡した日から 14 日以内に住民票のある市区町村の役場に「世帯主変更届」を提出します。ただし、残された世帯員が妻だけなど、新しい世帯主が明らかなときは、「死亡届」の提出だけで自動的に世帯主が変更されるので、届け出は必要ありません。
必要書類
- 世帯主変更届(住民異動届)
- 本人確認書類
※国民健康保険証や年金手帳が必要な市区町村もある。
その他の名義変更
電気・ガス・水道・NHK(受信料)
故人の口座が凍結されると、口座から料金の自動引き落としができなくなります。早めにそれぞれの営業所に電話で申し出て、名義変更と振替口座の変更、あるいは解約の手続きを行います。
必要書類
- 名義変更届
※電話で済むこともある。
電話・通信関係
最寄りの営業所の窓口で手続きを行います。電話加入権を相続権のない人へ名義変更する場合は「譲渡」の手続きになります。 携帯電話、インターネットなども名義変更や解約の手続きが必要です。
必要書類
- 電話加入権等承継届出書
- 戸籍謄本(死亡の事実が確認できて、故人と相続人の両方の名前が記載されているもの)
自動車
相続人確定後に、陸運局・運輸支局事務所で名義変更(移転登録)の手続きをします。死後15日以内に手続きをするとされていますが、遅れても罰則はありません。
必要書類
- 移転登録申請書
- 自動車検査証
- 故人や相続人の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 相続人の印鑑証明書
住居の賃貸契約
民間の賃貸住宅は管理不動産会社または家主へ、公団・公営住宅は管理営業所へ、借地は地主に連絡して名義変更を行います。
必要書類
- 名義承継願
- 戸籍謄本
- 住民票
- 所得証明書
- 印鑑証明書
【出典】『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』著:奥田 周年
【書籍情報】
『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』
著:奥田 周年
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公開日:2024.09.27