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困った行動・気になる子が増えている原因とは!?効果的な対策を検討する方法は?【発達が気になる子の感覚統合遊び】

Text:藤原里美

理論1:感覚統合の視点から子どもの行動のなぞを解く①

○理論解説のポイント!

  • 不適応行動は感覚の栄養不足から起こっている
  •  子どもの行動理由を「氷山モデル」で考える
  • 自分の基準を手放して五感の視点で子どもを見る

【理論解説】現場で子どもたちに起きていること

くるくる回る、ゆらゆら揺れる、ぶら下がり、よじ登って遊ぶ、スリル満点で体を思いきり動かす遊び。なんて楽しい遊びでしょうか。でも、この遊びを満喫する環境を、子どもたちに用意することがむずかしい時代になりました。

私たちはさまざまな感覚を使って、環境から情報を取り入れ、その情報を整理整頓し、記憶したり、考えたり、体に指令を出したりして生活しています。しかし、この感覚入力の経験が不十分だと、よく転ぶ、人とぶつかる、そわそわして落ち着きがない、集中できない、切り替えが悪いなど、一見すると「感覚」とは関係ないような子どもの気になる姿に直結します。

なぜなら、感覚は「脳の栄養」だからです。それぞれの子どもの脳の成長段階に見合った感覚(栄養)を取り込むことが必要となります。

子どもの中には「感覚欲求」があります。これはどのくらい感覚の栄養が必要かを示す欲求です。「生理的欲求」と同次元といわれているので、「食べること」「寝ること」と同じくらい大切なことといえます。

子どもの感覚欲求を満たすことのないままだと、情緒を不安定にさせてしまい、困った行動を引き起こしやすくなります。まずは、子どもが必要としている感覚欲求をしっかり取り込む環境をつくることが大切です。

現場で子どもたちに起きていることは…【発達が気になる子の感覚統合遊び】

【現場で子どもたちに起きていることは…】

  • 人とぶつかる
  • よく転ぶ
  • 切り替えが悪い
  • そわそわして落ち着きがない

【知識・学習】困った行動・気になる子が増えているのは

2022年 12月の文部科学省の調査(通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査)によると、通常の学級に在籍する小中学生の 8.8% は学習や行動に困難を示すことがわかりました。

この数字は前回調査(2012年)より 2.3 ポイント増えています。また、小学校にだけ焦点を当てると、10.4%とその比率が上がります。それだけ、学習や行動に困難を示す子どもが乳幼児教育・保育現場に存在することを示唆しています。

数値が増えている原因は多岐にわたって考えられますが、前述したように子どもを取りまく遊び環境の変化がそのひとつであることは皆さんもお気づきだと思います。

しかし、以前の環境に戻るわけにはいかないのですから、私たちの創意工夫で、子どもの脳に「感覚」という栄養を供給し、子どもたちの脳を「育てる」取り組みを考える必要があります。子どもの生活環境や遊び、脳の発達を「感覚統合」の視点から見直してみましょう

【アイデア・提案】問題行動の理由を「氷山モデル」で考える

子どもの困った行動には必ず理由があります。理由のない問題行動などひとつもありません。この理由を考えるために「氷山モデル」が役立ちます。氷山モデルは、問題行動の背景にある根本的な原因や要因を理解するためのモデルです。氷山は海の上に浮かんでいる氷の塊ですが、私たちが見えているのは海の上の一部です。そこだけ見ていても原因がわからず、解決策は出てきません。

そのため、表面上見えている行動だけでなく、その行動の裏にある、見えない要因や背景に焦点を当てる必要があります。つまり、問題行動を海の下に沈んでいる氷の塊(原因)から解釈し、対応策を考えるというものです。

私たちは子どもの困った行動を見ると「どうやって変えようか」と考えてしまいがちですが、まず考えるべきは「なぜこういう行動をとるのだろう」ということです。氷山モデルを用いて問題行動の原因に仮説を立てると、より効果的な対策を検討することができます。

問題行動の理由を「氷山モデル」で考える【発達が気になる子の感覚統合遊び】

見えている子どもの言動→行動の裏にある背景。この部分を解釈して対応する。

【出典】『発達が気になる子の感覚統合遊び』著:藤原里美

【書誌情報】
『発達が気になる子の感覚統合遊び』
著:藤原里美

子どもの困った行動には意味があり、感覚統合の視点から理解すると、これらは感覚情報の処理がうまくいかない結果であることがわかります。感覚統合は「発達凸凹」の子どもたちの支援に重要で、「遊び」を通じて子どもの能力を引き出す方法が強調されています。「発達が気になる子の感覚統合遊び」では、理論編と実践的な遊び編で構成されており、100以上の遊びを紹介しています。遊びを通じて子どもの情動を安定させ、成長を促すことを目的としており、子どもの理解と支援を促し、幸せな未来を共に築くために読んでおきたいおすすめの一冊です。

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