「お約束はしていらっしゃいますか?」に相手はムッ!
会社を訪れる来客に対して、受付などでアポイントの有無を確認することがあるでしょう。ふだん、どのように尋ねていますか。
「お約束はしていらっしゃいますか?」
どこといって非がない表現のようですが、実はこれは問題ありです。
なぜなら、この言い方では相手が約束をしたかどうかを質すことになるからです。
相手の行為を云々するのは礼を尽くして来客を迎える姿勢とはいえません。では、この言い方はどうでしょうか。
「お約束はございますか?」
これは相手の行為(約束をしたかどうか)を問題にするのではなく、約束が「あるかどうか」を聞いています。つまり、相手を質すことにはならないのです。ほんのわずかなニュアンスの違いですが、聞く人が聞けば、前者は失礼に響き、後者は、わきまえた言い方に聞こえるものです。
ただし、「ございますか?」に抵抗を感じる人もいるかもしれません。
「ございます」は「ある」の丁寧語ですから、相手に敬意を表している言い方とはいえません。そこで、突き放した言い方に聞こえたり、悪くすると高飛車な印象を与えたりすることがないとはいえないのです。さらに慎重を期すなら、こんな言い方があります。
「お約束はいただいておりましたでしょうか?」
このフレーズの前に「恐れ入りますが」や「大変失礼ですが」をつけると丁寧さはさらにアップします。
また、相手がアポイントを取っていないケースでも、「お取り次ぎいたしかねます」は禁句。
「申し訳ございません。ただいま確認いたします。少々お待ちいただけますでしょうか」
と相手が面会を求めている当人に必ず確認して、その判断を仰ぐのが立場を心得た対応といえるでしょう。
【出典】『頭がいい人の敬語の使い方』著:本郷陽二
【書籍情報】
『頭がいい人の敬語の使い方』
著:本郷陽二
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公開日:2024.08.11