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野茂英雄の陰で名選手が続々プロ入り

Text:小川隆行

1989年:名球会選手4人、MVP4人の当たり年

後に「日本人メジャーのパイオニア」となる野茂英雄(新日鉄堺)に注目が集まった89年(第25回)。史上最高の8球団指名を受けた野茂は、最後に残った「当たりくじ」を引いた仰木彬監督率いる近鉄に入団。4年連続最多勝に輝くなど大活躍をみせたが、野茂の「外れ1位」にも実績を残した選手が多い。

大洋は日米通算381セーブの佐々木主浩(東北福祉大)。ロッテは通算117勝の小宮山悟(早大)。ヤクルトは初年度から4年連続2ケタ勝利の西村龍次(ヤマハ)。日本ハムは1年目に10勝マークの酒井光次郎(近大)などなど。

野茂の争奪戦に背を向けた他球団も、広島は100勝100Sの佐々岡真司(NTT 中国)、中日は新人王に輝いた与田剛(NTT 東京)、西武は守護神として活躍した潮崎哲也(松下電器)と、活躍選手の1本釣りに成功している。

野茂に次いで注目された元木大介(上宮)は「巨人以外ならプロに行かない」と宣言していたが、その巨人は大森剛(慶大)を指名。フラれた形の元木はダイエーに野茂の外れ1位で指名されるも入団拒否、1年浪人の末巨人に入団。長嶋巨人でくせ者として活躍した。一方の大森は2軍で大活躍するも、層の厚い巨人で出場機会に恵まれなかった。

このほか、ヤクルト2位は名球会捕手の古田敦也(トヨタ自動車)、日本ハム2位は後のエース・岩本勉(阪南大高)、近鉄3位は後の4番石井浩郎(プリンスホテル)、巨人3位は近鉄移籍後に主軸として活躍した吉岡雄二(帝京)、広島4位は天才打者・前田智徳(熊本工)、阪神5位は日本人初のWS 出場を果たした新庄剛志(西日本短大付)という豊作ぶりだ。


1996年:名球会4人に三冠王!

ロッテの井口資仁(青学大)、広島の黒田博樹(専大)、巨人の鈴木尚広(相馬)、中日の森野将彦(東海大相模)といった4選手が指名を受けた96年(第32回)も超豊作年だ。

この年の目玉だった井口は逆指名でダイエー入りが早々に決定。2位で平成唯一の三冠王・松中信彦(新日鉄君津)、3位でベストナイン2回の柴原洋(九州共立大)を獲得したダイエーは、2年後に黄金時代の入り口を築いている。ダイエーのなりふりかまわぬ戦術に闘志を燃やした中日監督(当時)の星野仙一が強行指名の意欲を見せたほどだった。

1位の活躍選手は井口のほか、打点王に輝いた今岡誠(東洋大)と新人王獲得の沢崎俊和(青学大)、最高勝率のタイトルホルダー・入来祐作(本田技研)だが、この年は2位以下の活躍度が高い。前述の黒田と森野のほか、2000本安打まで残り72本で引退した谷佳知(三菱自動車岡崎)やメジャーで活躍した岩村明憲(宇和島東)、阪神で15年活躍した関本健太郎(天理)、最優秀救援投手に輝いた大塚晶文(日本通運)など逸材がズラリ居並ぶ。

3位以下もそうそうたるメンバーで、名球会選手の小笠原道大(NTT関東)を筆頭に近鉄で活躍した磯部公一(三菱重工広島)、4位も名球会打者の和田一浩(神戸製鋼)、代打で活躍した石井義人(浦和学院↓横浜)、通算75勝を挙げた小林宏之(春日部共栄↓ロッテ)、5位にも新人王に輝き盗塁王を2度獲得した小坂誠(JR 東日本東北↓ロッテ)の名がみえる。

1991年、1998年なども……

98年は松坂大輔(横浜→西武)を筆頭に、巨人を逆指名した上原浩治(大体大)と二岡智宏(近大)、名球会投手の岩瀬仁紀(NTT東海)や藤川球児(高知商)なども入団した豊作年。イチローを筆頭に中村紀洋、金本知憲などの91年も当たり年だ。また、原辰徳・愛甲猛・川口和久・石毛宏典・駒田徳広・高木豊らの80年も豊作年だった。

(初出:がっつり!プロ野球15号 記事:小川隆行)

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