中日ドラゴンズ戦力分析2024
投手陣の質・量はリーグ屈指も極端すぎる“投高打低”……
球団史上初となる2年連続最下位――。その理由は明白だ。長年の課題でもあった「投高打低」は昨季、さらに顕著に。チーム防御率3.08は優勝した阪神に次ぐリーグ2位も、同打率.234、同本塁打71本はともにリーグワースト。現役ドラフトで加入した細川成也の大ブレイクがあったものの、全体の数字を見ると「焼け石に水」だった感は否めない。
柳裕也、小笠原慎之介、髙橋宏斗、涌井秀章といった他球団なら2ケタ勝利も期待できる先発投手陣4人が揃って2ケタ敗戦を喫するなど、とにかく「打線の援護のなさ」に泣いたシーズンだった。本拠地のバンテリンドームがNPB屈指の『ピッチャーズフィールド』であることは確かだが、リーグ5位の36盗塁と機動力でカバーするようなこともできなかった。
とはいえ、今季は課題の得点力不足解消へ、フロントも大いに動いた。巨人を退団した中田翔、中島宏之という実績のあるベテラン、ソフトバンクを自由契約になった上林誠知らを積極的に補強。特に中田を中軸に固定できれば、岡林勇希、細川成也、石川昴弥といった脇を固める面々にも好影響が期待できる。
岡林勇希、石川昴弥はまだまだ伸び盛り。さらなる成長を見せれば打線が一気に「大化け」する可能性もある。2人以外にも4年目の龍空、2年目の村松開人、田中幹也、ルーキーの津田啓史など、期待の若手が揃っており、上積みも期待できるが、裏を返せば「未知数」の選手が多いとも言える。起用法、育成法含めて首脳陣の手腕が試されるシーズンになりそうだ。
投手陣は前述のとおり、12球団でも屈指の陣容。柳裕也、小笠原慎之介、髙橋宏斗、涌井秀章といった面々はベテラン、中堅、若手と年齢層のバランスも良い上に、今季は大野雄大も左ヒジ手術から復帰予定。ここに根尾昂、梅津晃大、松葉貴大、仲地礼亜、ウンベルト・メヒアらを加えた先発ローテ陣は昨季最下位とは思えないほど豪華な布陣だ。特に今季4年目を迎える髙橋宏斗は「球界のエース」になれる器。ここ2年間の6勝→7勝も立派な数字だが、援護にさえ恵まれれば勝ち星の倍増も十分あり得る。6年目の根尾も苦しみながら先発として徐々に成長を見せており、そろそろ「開花」に期待したいところ。
リリーフ陣も絶対的守護神のライデル・マルティネス、セットアッパー・清水達也を中心に藤嶋健人、勝野昌慶、祖父江大輔と質・量ともに充実。特にマルティネスは昨季、シーズンをまたいで44試合連続自責点0(NPB歴代2位)、防御率0.39、奪三振率11.69と支配的な投球を披露。SNSでは「怖いのは“亡命だけ”」と言われるほどの安定感を誇る。
投・打でこれほど差があるチームも珍しいが、そのぶん注目されるのが就任3年目を迎える立浪和義監督の采配だろう。就任以降、2年連続最下位と結果が出ていないだけに批判を浴びることも多く、昨季は「令和の米騒動」などグラウンド外でも良い話題がなかった。
心機一転で臨む今季。当然ながら打線のマネジメントが最重要課題になるが、投手陣の整備、コーチ陣との連携なども重要になる。“3年目の立浪ドラゴンズ”がセ・リーグで旋風を起こせるか――。大いに注目したい。