高橋礼 トレード移籍
2019年の新人王サブマリン!移籍を機に再ブレイクなるか!?
日本のプロ野球界で「移籍」というと、FA移籍以外は比較的ネガティブに捉えられがちです。トレードや戦力外通告を経ての他球団への移籍は、所属チームから「出された」印象が強いからです。ただし、そもそも球団から求められなければ移籍は実現しません。トレードも「出された」というよりは「求められた上での結果」と考えれば、ポジティブなものと捉えることができるはずです。
今季、トレードで巨人に加入した高橋礼投手は、まさに巨人が欲した選手のひとり。ここ数年はソフトバンクの分厚い投手層の前になかなか一軍の出番を掴むことができていませんが、2019年には12勝をマークして新人王に輝き、翌2020年にはリリーフとして52試合に登板して23ホールドをマーク。一軍で確かな実績を持つ右腕です。
巨人は昨季、チーム防御率がリーグ5位に終わるなど、投手陣の底上げが急務。高橋投手とともに巨人へと移籍した泉圭輔投手の交換相手が強打の外野手であるアダム・ウォーカー選手であることからも、巨人がいかに「使える投手」を欲していたかが分かります。
最大の特徴は、地面スレスレから投じられる球界でも稀有な「アンダースロー投法」。身長188センチという長身から、長い手足を鞭のようにしならせて投じるストレートは最速で140キロ中盤にもなります。ただ、高橋投手の強みは球速よりも独特の軌道。リリースポイントが極端に低いため、通常のオーバースローやスリークォーターに比べてボールが下から浮き上がるような軌道を描き、打者を困惑します。
先発・リリーフどちらの経験もあるため起用法もフレキシブルな対応が可能になりますが、高橋投手自身は移籍1年目の今季、「先発で勝負したい」という思いを強く持っているようで、春季キャンプから実戦で猛アピール。好調を維持すれば「開幕ローテ入り」も十分ありそうです。
ともに2年目ブレイクから低迷……同期入団・大竹耕太郎に続け!
高橋投手と同じく、「ソフトバンクからセ・リーグへ移籍」した投手でいうと、思い出されるのが大竹耕太郎投手(阪神)です。昨季、現役ドラフトで移籍を果たすと先発ローテに定着し、自己最多の12勝をマークして日本一に貢献しました。
実は高橋投手と大竹投手はともに2017年ドラフト入団の同期生。高橋投手は2位、大竹投手は育成4位入団ながら、ふたりとも1年目から一軍出場を果たし、プロ2年目にキャリアハイの数字を残しながら(高橋投手12勝、大竹投手5勝)、その後低迷するなど、多くの共通点があります。
プロ同期入団で似たような境遇の大竹投手の昨季の活躍が、高橋投手の刺激にならないわけはありません。投手としてのタイプは違いますが、新天地での再ブレイクをぜひ見せてほしいですし、それだけの能力は持っているはず。
こだわりのある「先発」として東京ドームのマウンドで躍動するサブマリンの躍動を、2024年は期待したいところです。