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山﨑颯一郎&山下舜平大の台頭が示すオリックス連覇の裏に見えた中嶋流プランニングとは!?

Text:中島大輔

一流選手は一体どんな思考でトレーニングしているのか?進化するプロ野球を探る

一流のプロ野球選手たちは一体どんなトレーニングを行っているのか?数多くのプロ野球選手を指導する「野球パフォーマンスアップスペシャリスト」高島誠氏の取り組みから、球界の最新トレンドを探る!

オリックス連覇の裏に中嶋流プランニングあり!

秋季キャンプや若手中心のフェニックスリーグが終わり、プロ野球は「オフシーズン」に突入する。球団の管理下から離れるこの期間は、選手たちにとってある意味では1年間で最も大事だと考えられている。自分自身の課題と向き合い、レベルアップにつなげられる時期だからだ。逆に言えば、オフをどのように過ごすかが翌年の成績に大きな影響を及ぼしてくる。

過去10年ほどで増えてきたのが、外部のコーチやトレーナー、アナリストなどの下で研鑽を積むケースだ。各自が信頼する専門家と契約を結び、その検知からアドバイスをもらって成長を目指していく。球団とは異なる視点でさまざまな指摘や助言をもらえることに加え、相乗効果として大きいのが他球団の選手と一緒に練習できることだ。

「自主トレを見ていると、お互いがそれぞれの球団のいいところをうまく吸収し合っていますね。1球団にずっといると、どうしても凝り固まる部分があると思いますが、『そういうトレーニングのやり方をしているんだ』『あの投手はどうやって変化球を投げているんですか』などと情報を擦り合わせています」

そう話したのが、広島県で自身のジムを運営する高島誠トレーナーだ。オリックスやワシントン・ナショナルズで勤務後に独立した同氏の下では、高校時代から担当する山岡泰輔や杉本裕太郎(ともにオリックス)、ソフトバンクの松本裕樹や2021年ドラフト2位で広島に入団した森翔平など約20選手が自主トレを一緒に行っている。

山岡の紹介を受けてオリックスの後輩である山﨑颯一郎、山下舜平大も昨年オフから参加するようになった。「二人ともポテンシャルがすごく高いですよ。山﨑は今年のクライマックスシリーズで160キロを計測したけど、それくらい出るだろうなと思っていました。山下はキャッチボールがすごいです。165キロを狙える能力を秘めていますね」今季途中から勝ちパターンの継投を担った山﨑や、日本シリーズでもベンチ入りした山下のように、現在のオリックスには息のいい若手投手が次々と台頭してきている。

強力ブルペンがリーグ連覇の原動力となったなか、若手が育つ土壌があるのだろうか。高島トレーナーはこう見ている。「中嶋聡監督になってからの傾向で、練習量を適度にしました。選手たちに余力があるからこそ、新しいことに取り組んでみようとなります。秋季キャンプなどで追い込みすぎると、疲れすぎてどうしても考える余地が少なくなりますよね。

中嶋監督が2軍を率いていた頃は、ファームの方が1軍より全体練習の時間が短かったくらいです。いろいろと、しっかりプランニングされていますね」昭和の頃のように「1日3000スイング」などと量を課して鍛えるのではなく、令和の現在はトラックマンやラプソードなどのテクノロジーを導入し、バイオメカニクスやアナリストの専門知識を現場と結びつけてパフォーマンス向上につなげようとする球団が増えてきた。

今季途中からホークアイという最新の動作解析システムを導入したオリックスは、タイムマネジメントも周到だからこそ選手が伸びていくわけだ。球団が個々を成長させる下地を整える一方、外部に助言を求める選手が増えているのはそれだけ選択肢が多くなったことの裏返しとも言える。自分はどういうアプローチをとれば、成長幅を広げられるか。その嗅覚と判断は今の選手に不可欠な要素だ。

出典:『がっつり! プロ野球(33)』

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