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【女子サッカー】アメリカではプロになる前に大学に通うのがスタンダード!≪現役なでしこリーガー/樫本芹菜≫

Text:樫本芹菜(スフィーダ世田谷FC)

きっかけは藤枝順心高校への進学。そこで出会ったのが、後にアメリカ留学へと導いてくれるエリースでした。代表選出もまだだった当時、エリースが聞かせてくれるアメリカサッカーの話はどれも刺激的で、遠征のバスでも隣の席を確保して質問攻めにしていました。

 

その中でも一番頭の中に残っていた言葉は、「アメリカの代表選手はみんな大学を経由してプロになっている」というものでした。「サッカーが上手くなりたい」その思いだけで中学卒業と同時に地元を離れた私にとって、あんなに強いチームの選手たちが、一見遠回りに見える大学進学を選んでいることが驚きでした。その数年後、実際に留学して女子サッカーの歴史を辿ると、アメリカ女子サッカーの人気が大学サッカーに支えられてきたことが見えてきました。

 

1972年、アメリカではTitle IX(タイトルナイン)という法が定められます。この法上では、教育における男女の機会均等を定めていますが、後として高校、大学年代での女性のスポーツの活性化に繋がり、特にサッカーの競技人口へ強く影響を与えます。

 

NCAAのレポートによると、Title IXが定められた前年となる1971-72シーズンでの大学女子サッカーチーム数はわずか13チーム、選手数は313人と報告されていたものが、2020-21シーズンでは1026チーム、27,304人まで数字を伸ばしています。私の留学先の大学の授業でも、昔サッカーをやっていたという女子生徒がほとんどという、日本ではまずなかった状況に驚いたことを覚えています。

 

また、Title IXで奨学金制度における男女間の平等も担保されたので、アスリート奨学金を狙って幼い頃からこどものスポーツにお金をかけるという保護者の人たちも多々存在します。そういった家庭で育つこどもたちは、クラスでもトップクラスの成績を納めて文武両道を極めています。どちらかというと「スポーツに投資して、大学での学びを得る」という感覚に近いようです。これが前回の記事で触れた「社会がスポーツを育て、スポーツが社会を育てる」という循環を感じた一端でもあります。

 

学生スポーツでありながら、一大ビジネスとしてのモデルとなり、プロ顔負けの設備を整えているので、私のように奨学金を利用して海を渡ってくる人も非常に多いです。プロトライアウトの過程で出会った選手たちの中には、大学の方がプロ環境よりよっぽど整っていると言う人もいるくらいで、現在は把握しておりませんが、当時はプロクラブが大学施設を借りて活動しているケースもあったくらいです。

 

日本全国の規模で考えると大きすぎますが、私の現在の所属クラブの拠点となっている世田谷区はとても教育に熱心な地域で、行政や教育機関とうまく関係性を築くことで、教育×スポーツでのおもしろい取り組みができるように感じています。

 

NCAA Sports Sponsorship and Participation Rates Report (Originally posted: December 1, 2021)

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