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瀬戸大也・羽生結弦を支えた 味の素㈱の「ビクトリープロジェクトⓇ」

Text:飯塚さき

スポーツ記者・飯塚さきの
スポーツ ここが知りたい!―It’s All About Sports!― 第9回

あらゆるスポーツ現場を飛び回るフリー記者・飯塚さきが、今回は大手食品会社である「味の素㈱」に潜入。フィギュアスケートの羽生結弦選手や、競泳の瀬戸大也選手をはじめ、実に多くのトップアスリートたちを、「食とアミノ酸」でサポートしています。その名も「ビクトリープロジェクトⓇ」。いったいどのようなプロジェクトなのでしょうか?
前後編でご紹介します。

選手自らが食事を考えられるようになる
「ビクトリープロジェクトⓇ」

食事は、パフォーマンスに影響を及ぼす重要な要素です。スポーツに必要な栄養素を適切なタイミングで補給することで、コンディションを整えることにつながります。

大手食品会社・味の素㈱では、アスリートたちを食で支える「ビクトリープロジェクトⓇ」というサポート活動を展開しています。日本オリンピック委員会(JOC)と日本障がい者スポーツ協会(JPS)と共同で展開し、オリンピック・パラリンピックといった大きな大会で、日本代表選手たちの支援をしているのです。水泳、バドミントン、空手、ハンドボール、ホッケー、など、実に多くの競技の選手たちをサポートしています。

JOCの運営する味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)を拠点にし、「ビクトリープロジェクトⓇ」を展開しており、強化合宿や海外遠征に訪れ、日本代表選手に対し、食事・補食の打ち合わせや、試合に勝ち切るためのアスリート向けの食事「勝ち飯Ⓡ」を提供しています。

バドミントン女子日本代表選手たちの食事風景

では、具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか。一つは、選手に対する食の情報提供。専属の栄養士さんがいる選手はほんの一部で、多くのトップアスリートは、自身で栄養管理せざるを得ません。味の素㈱では、「勝ち飯Ⓡ」勉強会として、アスリートの状況を把握し、基礎編から応用編まで、適切な食事・補食の摂り方のアドバイスを行っています。

次に、「勝ち飯Ⓡ」勉強会などで情報提供したことを踏まえ、選手自身に実践を促します。例えば、味の素ナショナルトレセンの食堂では、「主食・主菜・副菜・汁物・乳製品」の”5つの輪”が揃ったメニューを選択し、栄養バランスを考え、自分で適切な食事を考える機会を提案しています。この工夫によって、なかなか食材がそろわない海外の現場に行くときにも、何を持っていってどう足りないものを補えばいいか、自分で考えることができるようになります。

また、試合前の調整期においては、サポート選手に、栄養バランスを整えた「勝ち飯Ⓡ」を提案し、試合期間のコンディションを維持できるように提案しています。試合当日には、試合環境を把握した、効果的なニュートリションプランを作成し、アミノ酸の摂取量・摂取タイミングを、細かくアドバイスすることもあるようです。例えば、フィギュアスケートの羽生結弦選手の場合、こうした段階を経るだけでなく、ビクトリープロジェクトのスタッフが、世界大会に帯同し、「勝ち飯Ⓡ」弁当を作っていったり、試合の合間のアミノ酸補給を促したりしたそうです。こうした手厚いフォローが、平昌オリンピックでの金メダルにつながったといえるでしょう。

「勝ち飯Ⓡ」とは、「何を食べるか」ではなく
「何のために食べるか」を考えるもの

試合に向け、勝ち切れるための食事をサポートする味の素㈱。「勝ち飯Ⓡ」の考え方には、食事と補食の2種類あります。競泳のように、エネルギー消費量が特に多い選手たちに対しては、1日3食の食事に加え、練習や食事の合間にとる「補食」を推奨しているのです。

例えば、競泳の瀬戸大也選手の場合、強化期の摂取エネルギーは、なんと約4300kcalにも上ります。それだけの量を、3食だけで補うのは至難の技。そこで活躍するのが、「Power Ball®(だし入り小分けおにぎり)」やアミノバイタルといった補食です。味の素㈱は、こうした補食の量やタイミングについても、細かくアドバイスしています。2018年に行われたパンパシ水泳、アジア大会でも瀬戸選手をはじめ多くの競泳選手たちの食事や補食をサポートしました。

競泳の瀬戸大也選手
瀬戸選手をはじめ、多くのアスリートを味の素㈱スタッフがサポート

また、アスリートの食事でも、タンパク質と野菜をとることは、よくいわれます。そこに、「汁物」を付け加えて啓発しているのが、味の素㈱ならではの食育です。具だくさんの汁物をとることでさらなる栄養補給につながるだけでなく、出汁をとることで、消化・吸収を助けてもらえます。アスリートに対しても汁物の大切さを説いたことで、海外でも鍋やスープを作って食べる選手が増えたといいます。

「何を食べるか」ではなく、「何のために食べるか」を考えること。それが、日々のコンディショニングやパフォーマンスアップにつながります。こうしたトップアスリートへのサポートは、一般生活者への食育にも応用できるでしょう。後編では、ビクトリープロジェクトのツールであり、選手たちを支えた「勝ち飯Ⓡ」について、細かくご紹介していきます。

羽生結弦選手に提供した食事の例
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