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日本一への起爆剤となったバースの覚醒で生まれた掛布雅之、岡田彰布とのクリンナップ

Text:安東渉

あの頃はマジで最強だったなぁ……というファンの心を揺さぶれ!あの球団の黄金時代

●1985年の阪神タイガース
長いプロ野球の歴史の中で、どの球団にもある“黄金時代”。今回はあの阪神タイガースが、歴史上もっとも強く、そしてもっとも輝いた1985年を、ここでプレイバックしていこう!

【1985年成績】
130試合74勝49敗
打率.285 本塁打219 防御率4.16
監督:吉田義男
日本シリーズ結果(対西武):4勝2敗(日本一)

選手たちを優勝へと突き動かした悲しい事故

1985年の阪神は、開幕ダッシュにも成功し、4月から首位を独走することとなる。その大きな起爆剤となったのが、来日3年目のランディ・バースだ。前年、前々年と決して悪い成績ではなかったが、掛布、岡田らクリンナップの一角としては安定感に欠けるといった印象で、1985年の打撃構想の中では、当落線上にいたバースだが、オフに打撃改造を行い、日本での確かな感触を掴みかけていた。そんな中、4月17日の対巨人戦であのバックスクリーン三連発が生まれたのである。

このバースの本塁打からはじまったバックスクリーン三連発は、この年の阪神打撃陣の好調さを象徴するシーンでもあり、まさに穴の無いクリンナップが形成されたことを他チームに印象付けることとなった。バースはその後も打撃好調を維持し、打率・350、54本塁打、134打点を記録し三冠王を獲得。日本シリーズでもMVPを獲得するなど、まさに最強の助っ人としてその力を奮ったのである。

また、投手陣の助っ人、リッチ・ゲイルが活躍したことも大きい。約2メートルの身長から振り下ろされる魔球を武器に、三振の山を築いていったゲイルは、この年チーム最多の13勝をマーク。シーズン中盤には調子を崩すも、終盤にはなんとか立ち直り、日本シリーズでも2勝をあげる活躍を見せたのである。しかし、この2人の助っ人外国人の活躍があった裏では、同年8月12日に発生したあの日航機墜落事故により、中埜肇球団社長を亡くすという悲しい事故にも見舞われている。

この事故は選手たちにも大きなショックを与え、チームも一時期成績が低迷してしまうのだが、吉田監督ら首脳陣をはじめ、チーム全体が「なんとか優勝を」という力に変え、最後は猛追する広島、巨人を大きく突き放す、完璧な形での優勝。そしてさらには、その勢いのまま日本シリーズを制して日本一にまで上り詰めてしまうのである。リーグ優勝を決めた試合、インタビューを受けた吉田監督は「ファンの方々の声援が我々を奮い立たせてくれた」とコメントしたが、21年ぶりの優勝というだけでなく、選手たちにはさまざまなプレッシャーがかかっていた中で、チーム一丸となって掴んだ優勝は、奇跡を越えた特別な優勝だったに違いない。

出典:『がっつり! プロ野球(29)』

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