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柳田将洋が海外から帰国して1年目で掴んだサントリー14年ぶりのリーグ優勝【V1リーグ男子】

大宅真樹主将&柳田将洋対談

サントリー 大宅真樹主将「試合中や練習中のマサさんの立ち振る舞いを見て自分なりに真似して取り入れました」柳田将洋「ふふっありがとう」

バレーボールV.LEAGUE DIVISION1MENのサントリーサンバーズ(本拠地:大阪府箕面市)のキャプテン大宅真樹選手と柳田将洋選手に対談していただいた。サントリーは二人の活躍もあり、14年ぶりにリーグ優勝を果たした。2021年度の代表にも選出されたが、惜しくも五輪に出場することは叶わなかった。二人の出会いやリーグ優勝、代表での思いや次のシーズンに向けての抱負を聞いた。


――お二人はもともとはどこで初対面だったんですか。

柳田:凄い人数が集まったときに多分(一緒に)いたと思うんですけど…。
大宅:代表の薩摩川内の合宿でしたかね。

――そのときのお互いにどういう印象を持ちましたか。

柳田:印象を持てるほどあまりしゃべれてなかったです。一瞬でした。
大宅:一瞬でしたね(笑)

――ということはお互いにちゃんと話ができたのは、柳田選手が海外リーグからサントリーに戻ってきてからということになりますか。

柳田:だと思います。
大宅:はい。

――そのときはお互いどんな印象でしたか。

大宅:マサさんはテレビとか雑誌などで見ていた選手だったので、勝手にこう、スター選手というか、あまり近寄りがたい存在…(笑)。そういう印象でした。
柳田:そうだったの?
大宅:はい。
柳田:僕は、(大宅選手は)けっこう名門の高校、大学を出てきてるので、どういう選手かなというのはありました。自分のイメージではガツガツしてるのかなと思っていたのですけど、実際はそれとは反対のカラーかな。最初はそんな感じです。

――そこからVリーグを戦っていく中で、どういうコミュニケーションを交わしてどう印象が変わっていったんでしょうか。

大宅:僕からというより、マサさんの方からいろいろしていただきました。僕もキャプテンになった初めてのシーズンだったので、最初はマサさんが代表でキャプテンをやられていて、(年齢が)上の選手とかいてやりづらさとかはあったんです。でも、キャプテンとして何か相談するのは、マサさんに話を聞いてもらっていました。だから最初のうちは勝手に僕が距離を取ったというか…。

さっきマサさんも言われましたけど、自分からガツガツ行くタイプじゃないので、最初は恐る恐るな感じでコミュニケーションを取る回数が増えてきた。マサさんも相談したら絶対丁寧に答えてくれましたし、いろいろ僕のことも気にかけてくれて、最初の印象とは全く変わったというか、相談しやすいチームメイトになって、そういう感じでリーグ中もお世話になりました。

――柳田選手としてはどうでしたか。

柳田:セッターとスパイカーの関係だったので、普段しゃべることももちろんありましたし、コンビネーションを構築していく上でも常に話していくことが大事だなと思って接してましたね。あとは僕が入ってからではあるんですけど、大宅がキャプテンをやるということになって、大宅自身も「キャプテンとして何ができるか」ということも察知しながらシーズンを戦ってるなというのは見ていて感じたので、自分がいろんなことをやっていた経験から生かせるものがあればと思っていました。

もちろんチームにも大宅自身のためにもなればいいなと思って動いていたので、それがシーズンを通していい形になって、優勝という結果を残すことができた。関係性をしっかりと作ったことで、ついてきたものなのかなと思っています。

――今コンビネーションの話が出てきましたが、具体的にこういうトスがほしいといった例はありますか。

柳田:一定のテンポで上げてくれれば、大宅はテンポをハッキリ使い分けられるので、そこまで心配しなかったです。後は自分自身の課題ではあるんですけど、浮いたトスが打ちやすいというのがあって、そこは大宅に合わせてもらいながら上手く出してもらってたかなと思います。

――大宅選手自身でキャプテンとして悩んでいて、相談したことで具体例をあげてもらえますか。

大宅:いろいろ相談しましたけど、試合中や練習中のマサさんの立ち振る舞いとかを見て、マサさんはキャプテンではないけどチームを引っ張るところ、鼓舞する姿をリーグ序盤で見せてくれた。それを最初は真似をしながらどんどん自分のものにして、リーグを通して少しはキャプテンらしくなれたのかなと思います。そういう実感はあります。まだまだですが。

柳田:ふふっありがとう。


――ファイナルに向けてですが、前のシーズンではサンバーズは3位でしたよね。

大宅:はい。
柳田:僕はいなかったですけど、そうですね。

――決勝という場所にずっと最近のサンバーズはたどり着けていなかったのですが、そのファイナルに向けて、どんなことをお互いに話し合ったりしましたか。

大宅:僕らは決勝がどういう舞台かまだわからなかったチームでしたし、僕自身もイメージはするけど、実際立ってみたら違いました。いろんな不安もありましたけど、何より勝ち続けていたのが自信になっていて、決勝もあまり悪いイメージが自分の中でなかった。それとディマ(ムセルスキー)からチームに対して、「決勝は楽しんだもん勝ちでお祭りだよ」というのを一度ファイナル前にチーム全体に話してくれて、それが腑に落ちました。「楽しまなきゃ損だよな」と思ったので、僕からはチームのみんなにファイナル前の円陣で、そういうことを意識して今日は戦おうという話をしました。

――柳田選手は海外のチームで、カップ戦で決勝を戦ったことがあったんでしたっけ?

柳田:はい。ただ、リーグとカップ戦の違いは結構あるのかなと思います。なので、僕の中ではあまり同列とは考えてないですし、カップ戦よりもリーグで勝つことの方が重要事項なのかなと思います。海外でも同じようなことを言われていましたし、ですからそこはあんまり関係はないですね。ただどの試合でも、同じような自分たちの勝ちパターンに持っていけるということは、カップ戦でもリーグでもすごく重要なことだと思っています。

昨シーズンに関して言えば、自分たちがいい形に持っていけるのはどういうときかというのをある程度想定できて、だからこそそうじゃないときに敏感に感じていたのかなと思うんですよね。

例えばフルセットになったときとか、先行されているときにどうやって修正していこうかとなってきます。そのときにイメージするのは「じゃあどういう形が自分たちにとっていい形なのか」というのが、勝ち続けることによってチームに定着していた。そこから逆算して、今から自分たちのペースに持ち込もうということができていた。それをリーグを通してできたことが、優勝につながった。最後も僕たちらしいバレーボールができたことが、優勝につながったのかなと思っています。

――前の日のセミファイナルはご覧になってたと思うんですけど、それを見て何かお互いに「こうしよう」とか話しましたか。

柳田:そんなになかったです。自分たちがやることをやるだけだというのは、たぶん僕たちだけじゃなくてチーム全体で共通認識できていたと思う。言っちゃえば(パナソニックとウルフドッグス名古屋)どっちが上がってきても、自分たちがやるバレーというのは変わらなかったと思います。もちろん相手に対してどうするという対策は立てるんですけど、それ以上に重要なのは、さっき大宅も言ったんですけど、「自分たちが楽しんで自分たちのバレーをすること」でしたね。

――ファイナルは圧勝だったわけですが、柳田選手もリーグで決勝の舞台に立つのは初めてでしたよね。

柳田:はい。


――緊張したりとかではなく、今おっしゃられたような楽しむという感じで入れたんでしょうか。

大宅:僕自身は楽しめましたし、そこだけではなくて、顔に出ちゃうタイプなので笑顔を意識しました。セッターとしてもチームメイトに表情がすぐ伝わっちゃうので、その1日は笑顔を忘れないようにというのは心がけて。アップのときからモチベーションを上げてやれていました。いざ始まるとなったら流石に緊張はありましたけど、それ以上に自分の役割をまっとうできたというか、みんなが楽しそうにしているのを僕自身も感じながらプレーできたので、それが結果につながったのかなと思います。

柳田:僕は決勝の舞台に行くまでの道のりがすごく長かったなという感覚で準備をしていたので、楽しむことももちろんですけど、なんというか(試合を)重要に感じることが自分にとってのモチベーションになるので、そこに対する改めての心の中での決意、そこをしっかり固めてコートに立てたかなという感じです。

――ファイナルは本当に危なげない展開で、負ける気がしないといった感じだったんでしょうか。

柳田:試合中はそうですよね。マインドとしてはやっぱり。あとは、そもそも決勝云々のはなしではなくて、決めたことをいかに正確に、かつ素早く遂行できるかは、どのチームというかどこに行っても必要な要素でしょうね。それを突き詰めることを続けることが、自分の選手としてのレベルアップにつながると思っていて、決勝の舞台でも同じことを遂行しようと自分の中では目的を持ってやっていました。

――14年ぶりの優勝で二人とも前の優勝は経験されていないわけですが、いざその優勝した瞬間というのはどう思いましたか。

大宅:正直に優勝できて嬉しかった気持ちでしたし、僕がキャプテンとしてやってきた1シーズン、そこで結果が出せた。チームメイトのおかげだし、スタッフやファンの皆さんのおかげというのもすごく大きいですし、僕自身の僕の中での成長が実感できたというところで、ホッとしたというか、その気持ちが強かったと思います。

柳田:戻ってきて最初の年で、自分が持って帰ってきたものを少しでもチームに還元しようという目的を持ってやっているなかで、優勝という結果を勝ち取れたというのを、思い出したというか、そういう瞬間でした。あんまり僕も優勝経験がないので、その瞬間というのを久しぶりに味わったかなという。なんか不思議な感覚ですね。やっぱり優勝するときって個人的には不思議な感じというか、勝ち切ってもう次の試合がないという感覚、それをいつも優勝した時には感じます。今回も同じような感じでした。

――試合後は涙ぐんだりされて、感慨深い感じを見せてましたけど…

柳田:まあ、それは優勝したんで(笑)

後編に続く

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